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Trane's Blues

  • 作曲: COLTRANE JOHN
#スタンダードジャズ
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Trane's Blues - 楽譜サンプル

Trane's Blues|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Trane's Bluesは、ジョン・コルトレーンによるインストゥルメンタルのジャズ曲。タイトルが示す通りブルース・フォームを基調とし、コンボ編成での演奏を想定したリフ主体のヘッドと、即興を大きくフィーチャーする構造が特徴です。一般には、1950年代半ばのマイルス・デイヴィス・クインテットの録音を通じて広く知られるようになりました。歌詞は存在せず、演奏家それぞれの語法が前面に出るナンバーとして扱われます。

音楽的特徴と演奏スタイル

中速からやや速めのスウィングで演奏されることが多く、歩くようなウォーキング・ベースと明快なライド・シンバルが推進力を担います。ヘッドは短い動機を反復・展開するリフ型で、ソロ・コーラスではブルース語法に基づくコール&レスポンス、コード・トーンの明確なアウトライン、ブロウイングのドライブ感が聴きどころ。トランペットとテナー・サックスのコントラスト、ピアノのコンピングの間合いも楽曲の魅力を支えます。

歴史的背景

本作が注目を集めたのは、ハードバップが洗練されていく1950年代半ばの文脈と重なります。コルトレーンは当時、マイルス・デイヴィスのクインテットに在籍し、コンボ・ジャズにおける即興の精度とインタープレイの深化に寄与しました。Prestigeレーベルでの連続録音は後年“黄金期”として評価され、Trane's Bluesはその中でコルトレーンの早期スタイルを知る上でも手がかりとなるレパートリーです。初出年の厳密な記載は資料により差があり、詳細は情報不明です。

有名な演奏・録音

代表例として、マイルス・デイヴィス・クインテット(tp: マイルス・デイヴィス、ts: ジョン・コルトレーン、p: レッド・ガーランド、b: ポール・チェンバース、ds: フィリー・ジョー・ジョーンズ)によるPrestigeでの録音が広く参照されます。加えて、同時期の音源を集成したボックス『The Complete Miles Davis Prestige 1953–1958』等のアンソロジーにも収録され、現在まで入手・鑑賞が容易です。その他の著名録音の体系的な一覧は情報不明です。

現代における評価と影響

Trane's Bluesは、ブルース語法とハードバップ的アプローチの学習素材として音大やワークショップでも扱われます。シンプルなヘッドと明快な進行が、フレージング、モチーフ展開、ダイナミクスの設計を実地で鍛える格好の題材となるためです。セッション現場でも取り上げられる機会があり、コルトレーンの初期の語法を現代の演奏家が再検証する際のリファレンスとして定着しています。

まとめ

ジョン・コルトレーン作のTrane's Bluesは、ブルース・フォームに根差したシンプルさと、コンボ・ジャズの醍醐味である即興の自由度を兼ね備えた一曲です。1950年代の重要録音を通じて広く知られ、今日では教育的価値と実演的魅力の両面で支持を得ています。詳細な初出情報やバリエーションの系譜には不明点も残りますが、ジャズ史を学ぶ上で外せない定番レパートリーといえるでしょう。