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Easy To Love
- 作曲: PORTER COLE

Easy To Love - 楽譜サンプル
Easy To Love|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Easy To Love」(別題「You’d Be So Easy to Love」)は、作曲家コール・ポーターによるポピュラー歌曲で、後にジャズ・スタンダードとして定着した。多くの演奏でAABAの32小節形式として扱われ、テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く選ばれる。洒脱な旋律と洗練された和声進行が特徴で、歌詞は恋する相手が“とても愛しやすい存在”であることを端正な比喩で語る。
音楽的特徴と演奏スタイル
メロディは跳躍と順次進行が巧みに交錯し、フレーズ頭に置かれる印象的な音型がテーマ性を強める。和声は副次ドミナントや転調感を伴う進行が要所で現れ、ボーカルではレガートを基調に歌詞の語感を生かす解釈が重要。器楽ではスウィングのビート感を保ちつつ、ブリッジ(B)での緊張と解放をソロ構成に反映させると映える。エンディングはタグやフェルマータで余韻を演出する例が多い。
歴史的背景
本曲は当初、ブロードウェイ・ミュージカル『Anything Goes』(1930年代)向けに書かれたが、上演時には採用されなかったとする資料がある。その後、1936年の映画『Born to Dance』で取り上げられたことで広く知られるようになり、以後は舞台やレコードを通じて定番曲として普及。ポーター特有の機知ある言葉遣いと都市的なメロディ・センスが時代を超えて評価されている。
有名な演奏・録音
「Easy To Love」は多くの名歌手・名手に録音されている。ボーカルではエラ・フィッツジェラルドやフランク・シナトラ、ビリー・ホリデイ、サラ・ヴォーン、トニー・ベネットらの解釈がよく知られ、各々がテンポ設定やフレージングで独自の色を与えている。器楽ではピアノ・トリオやサックス・クインテット編成などでのスウィング/モダン双方のアプローチが定着し、スタンダード集の常連曲となっている。
現代における評価と影響
現在もジャム・セッションや音楽教育の現場で頻繁に扱われ、リードシート集にも高確率で収録される。歌詞付き・インスト双方に対応できる柔軟性、そして洗練された旋律線は、スタンダードを学ぶうえで格好の教材である。映像作品やコンサートでも取り上げられ続け、コール・ポーター作品群の中でも普遍性の高いレパートリーとして位置づけられている。
まとめ
「Easy To Love」は、上質なメロディと都会的な語法が共存するポーターの美学を体現する一曲。歌でも器楽でも映える構造を持ち、歴史的背景と豊富な名演に支えられて、今なおジャズ/ポピュラーの現場で生き続けている。