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Blue Christmas

  • 作曲: HAYES BILLY, JOHNSON JAY W
#クリスマス#洋楽ポップス
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Blue Christmas - 楽譜サンプル

Blue Christmas|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Blue Christmas」は、ビリー・ヘイズとジェイ・W・ジョンソンによるクリスマス・ソング。初出は1948年で、同年にドイ・オデールが録音、続いてアーネスト・タブのカントリー版が広まった。一般的な知名度を決定づけたのは、1957年のエルヴィス・プレスリーの録音である。作詞者の公式表記は情報不明だが、両名のソングライターとしての関与が広く知られる。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、愛する人の不在によって祝祭の色が褪せ、心が“ブルー”になる感情を描く。青は英語圏で憂鬱を象徴する色。華やかな飾りや鈴の音があっても、相手がいなければ空虚だという対比が核心で、孤独と未練が静かに反復される構成が、季節の喜びと哀しみの二面性を際立たせている。シンプルな言葉と覚えやすいメロディが、個人的な痛みを普遍的体験へと昇華させている。

歴史的背景

戦後アメリカで隆盛したカントリー/ポピュラー系のソングライティングに根ざし、ブルース由来の語感を持つメロディと穏やかなスローテンポが特徴。1950年代後半には、ロカビリー以降のポップ市場とも接続し、クリスマス曲ながら季節を超えてラジオで流通する素地を作った。家庭的な祝祭の情景と、アメリカ音楽の哀歓を併せ持つ点が、のちのスタンダード化に寄与した。

有名な演奏・映画での使用

代表的な演奏として、エルヴィス・プレスリー版(1957『Elvis’ Christmas Album』)が挙げられる。ジョーダネアーズのコーラスとミリー・カーカムのハイ・ソプラノが、寂寥感と甘さを共存させた決定的アレンジを生んだ。ほかにアーネスト・タブ、ザ・ビーチ・ボーイズ(1964)、マイケル・ブーブレ(2011)など多数のカバーが存在する。映画やドラマでの具体的な使用例は情報不明。

現代における評価と影響

現在もホリデー・シーズンの定番として世界各国のプレイリストに並び、新しいカバーが毎年のように発表される。クリスマスの華やかさだけでなく、誰もが抱き得る欠落感を普遍的に描いた点が支持の理由。ライブではテンポや伴奏を抑え目にして歌詞を響かせる解釈が多く、ジャズ、カントリー、ポップなど多様な編成で再演され、世代とジャンルを越えて継承されている。

まとめ

本作は、祝祭の陰影を描くことで季節歌の幅を広げた名曲である。1948年の誕生からエルヴィス版を経てスタンダード化し、現在も多くの歌手に再解釈され続ける。恋人不在のクリスマスという普遍の情景を、簡潔な言葉と旋律で刻んだ点が、長い寿命の源と言える。年ごとに新たな歌い手が“青い”季節の感情を更新し、楽曲の生命力を証明している。