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So In Love
- 作曲: PORTER COLE

So In Love - 楽譜サンプル
So In Love|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『So In Love』は作曲・作詞ともにPORTER COLE(コール・ポーター)によるバラードで、1948年のブロードウェイ・ミュージカル『Kiss Me, Kate』のために書かれた楽曲。劇中では主演女優のアリアとして配置され、情熱的な愛と葛藤を静かに、しかし強く歌い上げる。初演キャストで広く知られ、以後は舞台を超えてスタンダードとして定着した。
音楽的特徴と演奏スタイル
穏やかなバラードのテンポに乗り、豊かな半音階的進行と劇的なダイナミクスが特徴。キーやテンポは歌い手に合わせて自在に移調・解釈され、ルバートを活かした自由度の高いフレージングが好まれる。ジャズではテンション豊かな再ハーモナイズやサスティンド・トーンを重視した伴奏で、声楽的な旋律美を際立たせる演奏が多い。器楽演奏ではメロディの息遣いを保ちながら、バラードの間(ま)を丁寧に描くアプローチが好結果を生む。
歴史的背景
第二次大戦後のブロードウェイ黄金期に登場した『Kiss Me, Kate』は、シェイクスピア『じゃじゃ馬ならし』を下敷きにしたメタ劇。『So In Love』は作品内の重要モチーフとして繰り返し現れ、1953年のMGM映画版でも継承された。舞台・映画の成功とともに曲の知名度は急速に高まり、ショー・チューンとしての生命を保ちながら、ジャズ・スタンダードとしても受け入れられていく。
有名な演奏・録音
主な録音として、オリジナル・ブロードウェイ・キャストでのパトリシア・モリソン、映画版(1953)でのキャスリン・グレイソンが代表的。ジャズ/ポピュラー録音では、エラ・フィッツジェラルドの『Cole Porter Song Book』(1956)や、k.d. langが参加したチャリティ企画『Red Hot + Blue』(1990)の名唱が広く知られる。このほか多くの歌手・器楽奏者が取り上げ、各時代のサウンドで更新され続けている。
現代における評価と影響
現在もジャズ・ボーカルの定番曲として教育現場やリサイタルで頻繁に取り上げられ、バラードの呼吸や語り口を学ぶ教材的価値が高い。ミュージカル『Kiss Me, Kate』の再演やコンサートでも要所のハイライトとなり、映画・テレビの選曲でも時折用いられる。作曲者の洗練された和声感と歌詞の普遍性が、世代とジャンルを横断して共感を呼び、アメリカ歌曲の柱の一本と評価されている。
まとめ
舞台発の抒情的バラードでありながら、ジャズ・スタンダードとして不朽の存在感を確立した『So In Love』。端正な旋律と濃密な和声が演奏者の解釈を促し、時代を超えて愛のドラマを語り続けている。