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アーティスト情報なし

Squirrel

  • 作曲: DAMERON TADD
#スタンダードジャズ
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Squirrel - 楽譜サンプル

Squirrel|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Squirrelは、ビバップ期を代表する作編曲家Tadd Dameron(表記:DAMERON TADD)によるインストゥルメンタル作品。英語圏では“The Squirrel”と記される場合もある。歌詞は存在せず、コンボ編成で演奏されるジャズ・スタンダードとして扱われることが多い。初出年や初演メンバーの詳細は情報不明だが、1940年代後半から1950年代初頭に確立したダメロンの様式の中核を示す一曲として位置づけられる。

音楽的特徴と演奏スタイル

ダメロンらしい流麗なメロディと洗練された和声が核。ビバップの語法に根ざしつつ、旋律線は歌心が強く、過度に角張らない。テンポは中速からアップテンポで取り上げられることが多く、テーマをホーンのユニゾンまたはハーモナイズで示し、アドリブ・コーラスを重ねてエンディングへ向かうオーソドックスな構成が一般的である。コードは機能和声に基づく転回や連続するII-V進行が多用され、内声処理の巧みさが際立つ。楽曲の具体的な形式(例:32小節AABAなど)は情報不明。

歴史的背景

1940年代のニューヨークで台頭したビバップは、複雑な和声と高度な即興を特徴とする。ダメロンはその中で、抒情性と構築美を兼ね備えた作編曲で独自の地位を築いた。Squirrelもこの流れに属し、クラブの小編成アンサンブルを主な舞台に演奏されてきた。彼はビリー・エクスタイン楽団やディジー・ガレスピーらとの仕事で手腕を発揮し、ビバップの語彙をより歌謡的かつオーケストラルに拡張した作曲家として評価されている。

有名な演奏・録音

Squirrelの名演として広く言及されるのが、1949年パリでのTadd Dameron Quintet with Miles Davisによる演奏である(フェスティバル出演時の記録として流布)。この記録は後年アーカイブ音源としてまとめられ、作品の存在感を国際的に示した。他の初期録音や正式な初出盤の詳細は情報不明だが、ビバップ~ハードバップ期の管楽器奏者がレパートリーとして取り上げる例は多く、研究・教育目的の演奏も確認される。

現代における評価と影響

Squirrelは、派手な技巧を誇示するよりも、メロディの歌わせ方と和声の運びで魅せるタイプのビバップ・チューンとして評価される。セッションの常連曲ほどの頻度ではないものの、ダメロン作品を掘り下げる演奏家や教育機関のカリキュラムで扱われ、作曲面の学習素材としても有用視されている。ダメロンの音楽言語を体現する一例として、後続のハードバップ系作曲家にも持続的な影響を与えている。

まとめ

Squirrelは、Tadd Dameronの作曲美学を凝縮したビバップ期の重要レパートリーである。形式や初出年など一部に情報不明な点は残るが、1949年パリでの演奏をはじめとする記録が、その音楽的価値を裏付ける。流麗なメロディ、秩序だった和声、端正なアンサンブル運びは、現在も演奏家・聴衆双方を惹きつけ続けている。