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Come Rain Or Come Shine
- 作曲: ARLEN HAROLD

Come Rain Or Come Shine - 楽譜サンプル
Come Rain Or Come Shine|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Harold Arlen作曲、Johnny Mercer作詞の「Come Rain Or Come Shine」は、1946年のブロードウェイ・ミュージカル『St. Louis Woman』のために書かれた。のちにポピュラーとジャズ双方で愛奏され、現在はグレイト・アメリカン・ソングブックを代表する定番曲となっている。英語表記は“Come Rain or Come Shine”で、誓いの言葉を軸にしたラブソングとして広く知られる。
音楽的特徴と演奏スタイル
旋律はブルース由来の陰影と伸びやかな高揚を併せ持ち、誓いの言葉を反復する歌詞と相まって強い情感を生む。テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く、ルバートの序奏からスウィングへ移る解釈も多い。コード進行はドミナントの連鎖や半音階的な動きを含み、旋律とのコール&レスポンスが生じやすい。即興ではテンションと解決の対比を際立たせるアプローチが有効で、ボーカルと伴奏のダイナミクス設計も聴きどころだ。
歴史的背景
第二次大戦後、ミュージカル発のポピュラー歌曲がジャズに取り込まれる潮流の中で本曲も広がった。作曲家アーレンの洗練された和声感と、日常語を巧みに詩へ昇華するマーサーの語法が結びつき、ショー・チューンの枠を越えてクラブやレコード市場で支持を獲得。ラジオやレコードの普及がカバー文化を加速させ、短期間でスタンダード入りを果たした。
有名な演奏・録音
録音は非常に多く、レイ・チャールズ、フランク・シナトラ、ビリー・ホリデイ、サラ・ヴォーン、ディナ・ワシントン、ジュディ・ガーランド、エラ・フィッツジェラルドらの名唱が代表的。器楽ではオスカー・ピーターソンほか、ピアノ・トリオやサクソフォンのバラードとして定番化している。各演奏はテンポ設定やイントロ処理、和声の置き換え(リハーモナイズ)に個性が表れ、同一曲でもまったく異なる表情を見せる点が魅力だ。
現代における評価と影響
現在もセッションの定番として教育現場やリアルブックに収録され、入門から上級まで幅広く扱われる。配信時代のプレイリストでも参照頻度が高く、ボーカルの表現力や伴奏のダイナミクスを磨く教材として重用される。映画・ドラマでの具体的な使用作品は情報不明だが、知名度と再演性の高さは変わらず、ライブでも高い訴求力を保つ。
まとめ
ブロードウェイ生まれのラブソングが、ジャズの語法を通じて普遍性を得た好例。情感豊かな旋律と解釈の自由度が、多様な名演を生み続ける原動力となっている。