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Have Yourself A Merry Little Christmas

  • 作曲: BLANE RALPH, MARTIN HUGH
#クリスマス#スタンダードジャズ
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Have Yourself A Merry Little Christmas - 楽譜サンプル

Have Yourself A Merry Little Christmas|楽曲の特徴と歴史

基本情報

本曲はHugh MartinとRalph Blaneによるクリスマス・バラードで、1944年の映画『若草の頃(Meet Me in St. Louis)』でジュディ・ガーランドが歌ったことで広く知られる。のちに多彩な歌手・ジャズ奏者に取り上げられ、季節の定番曲となった。クレジットは作詞・作曲ともに両名の名義で流通しており、発表以来、英語圏を中心に世界中で愛唱されている。歌詞付きの楽曲だが、ここでは内容の要約と歴史に絞って紹介する。

音楽的特徴と演奏スタイル

ゆったりとしたテンポのバラードで、繊細な旋律線が長いブレスと滑らかなレガートを求める。伴奏はピアノやストリングス、ジャズではトリオやビッグバンドまで幅広い。ボーカルはルバートを活かし、語りかけるようなニュアンスが要。器楽演奏ではメロディを尊重しつつ、テンションや転調を用いたリハーモナイズが定番で、イントロやタグの付け方次第でロマンティックにもブルージーにも表情が変わる。エンディングはフェルマータで余韻を残すアレンジが好まれる。

歴史的背景

1944年、第二次世界大戦中のアメリカで公開された映画の劇中歌として誕生。当初の歌詞は陰影が強く、別離や不安の感情をにじませていたが、公開に向け表現が和らげられた。その後も録音の目的に応じて一部のフレーズが差し替えられ、1957年のフランク・シナトラのアルバム収録時には、より明るい語り口の改稿が行われたことでも知られる。こうした変遷が曲の解釈幅を広げ、映画歌から季節のスタンダードへと定着する土台となった。

有名な演奏・録音

ジュディ・ガーランド(1944、映画サウンドトラック)を嚆矢に、フランク・シナトラ(1957『A Jolly Christmas from Frank Sinatra』)、エラ・フィッツジェラルド(1960『Ella Wishes You a Swinging Christmas』)、トニー・ベネット(1968『Snowfall』)、マイケル・ブーブレ(2011『Christmas』)、サム・スミス(2014 シングル)など、多様な解釈が残る。柔らかなバラードからスウィング寄りのアレンジまで幅が広く、サックスやギターによる器楽版も定番化している。

現代における評価と影響

年末になると放送・配信・商業施設のBGMまで幅広く流れ、世代やジャンルを超えて共有されるレパートリーとなっている。合唱編曲や学校・地域のアンサンブルでも頻繁に演奏され、穏やかな祝祭感と郷愁を喚起する冬の象徴曲として定着。録音技術やアレンジの多様化により、毎年新たなバージョンが生まれ続け、クラシックな魅力と現代性を併せ持つ稀有なスタンダードとして評価が高い。

まとめ

映画発の小品でありながら、時代とともに歌詞やアレンジが洗練され、ジャズ標準曲として不動の地位を築いた。シンプルで美しい旋律が解釈の自由度を担保し、家庭的な温もりから都会的な洗練まで、多様なクリスマスの情景を描き出す一曲である。