あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

Times Lie

  • 作曲: COREA CHICK,POTTER NEVILLE
#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Times Lie - 楽譜サンプル

Times Lie|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Times Lie」はチック・コリア作曲、ネヴィル・ポッター作詞の楽曲。初出は1972年、Return to Forever『Light as a Feather』収録。フローラ・プリムの歌声を伴う演奏で知られ、電気ピアノ中心のサウンドとブラジルの色彩、そして拍感の変化を織り込んだ設計が特徴だ。

音楽的特徴と演奏スタイル

テーマは歌詞付きの端正な旋律で始まり、器楽的インプロへ滑らかに移行する。代表的録音ではフェンダー・ローズの温かな響きが核となり、フルート/ソプラノサックス、アコースティック・ベース、パーカッションが軽やかな推進力を生む。モーダルな和声運びとセクションごとの拍子・テンポの揺らしが聴きどころで、歌とアンサンブルの融合が際立つ。

歴史的背景

1970年代初頭、コリアは電化以降の探求を進め、ブラジル由来のリズム感とジャズの即興を統合するReturn to Foreverを始動。「Times Lie」はその文脈で生まれ、同時期にポッターが詞を提供した一連の作品群の一つとして位置付けられる。メロディ志向とエレクトリックな音像の両立という当時の課題に応答した楽曲だ。

有名な演奏・録音

最も広く知られるのは、Return to Foreverによる1972年『Light as a Feather』のテイク。メンバーはChick Corea、Flora Purim、Joe Farrell、Stanley Clarke、Airto Moreira。ヴォーカルと器楽の均衡が取れたこの録音が基準点とされる。その他の著名な再録・映画使用は情報不明。

現代における評価と影響

「Spain」ほどの普遍性はないが、初期フュージョンの洗練とリズム設計の巧妙さを併せ持つ楽曲として評価される。歌から器楽へ移る構成はヴォーカル入りジャズの可能性を示す好例で、ブラジル的グルーヴとモーダル和声の結合は今日も参照点である。演奏家にとっては拍感の変化とアンサンブルの呼吸を学べるレパートリーでもある。

まとめ

詩情あるメロディと時間感覚の揺らぎを統合した本曲は、コリアの作家的個性を物語る。1972年の代表的録音を起点に、詳細に未詳も残るが、その音響設計とアンサンブルの妙は今なお新鮮だ。歌と即興の橋渡しを体現する一作として、ジャズ/フュージョンの文脈で聴かれ続けている。