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What Kind Of Fool Am I

  • 作曲: BRICUSSE LESLIE,NEWLEY ANTHONY GEORGE
#スタンダードジャズ
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What Kind Of Fool Am I - 楽譜サンプル

What Kind Of Fool Am I|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「What Kind Of Fool Am I」は、レスリー・ブリッカスとアンソニー・ニューリーによるミュージカル『Stop the World – I Want to Get Off』のために書かれた代表的なバラード。作品中で主人公が自分の生き方を問い直す重要場面に置かれ、舞台発の楽曲ながらポピュラー/ジャズの現場で広く歌われるスタンダードとなった。初演はロンドン、のちにブロードウェイでも上演され、録音やカバーが相次いだ。楽曲の普及にはサミー・デイヴィス・ジュニアのヒット・ヴァージョンが大きく寄与し、作曲家コンビはグラミー賞(ソング・オブ・ザ・イヤー)を受賞している。

音楽的特徴と演奏スタイル

調性の中で緊張と解放を丁寧に積み上げるバラードで、語り口の静けさからサビにかけて感情が高まり、最後にドラマティックな頂点へ至る構成が特徴。ボーカルは広めの音域とフレージングのコントロールが求められ、ブレス位置や言葉の強弱が解釈の鍵となる。ジャズ演奏ではテンポを落としたスローからミディアム・バラードで取り上げられ、リハーモナイズや半音階的アプローチによって陰影を深める手法が一般的。ピアノ・トリオやテナーサックスの歌心を生かすレパートリーとしても定着している。

歴史的背景

この曲は英国発の新作ミュージカルから生まれ、当時のショービジネスや人生観を風刺的に描く物語の中で、主人公の内省を凝縮したナンバーとして機能した。舞台の成功に伴い単独曲として独り歩きを始め、欧米のシンガーが続々とレコーディング。舞台文脈に依存しない普遍性—孤独、自己省察、愛への渇望—が、時代や国境を越えて支持を広げた。

有名な演奏・録音

アンソニー・ニューリー自身のキャスト・レコーディングに加え、サミー・デイヴィス・ジュニアのシングルが大きな認知をもたらした。トニー・ベネットやシャーリー・バッシーら名唱も知られ、後年まで多くのヴォーカリストが取り上げている。器楽面でも、ピアノやサックスのバラード名演が多数存在するが、決定版は情報不明。映画やテレビでの顕著な使用歴は情報不明。

現代における評価と影響

今日ではミュージカル由来の「ジャズ・スタンダード」として教育現場の課題曲やリサイタルの定番に位置づけられる。英語詞の明瞭なディクションと物語性のある表現力が求められるため、歌唱コンクールやオーディションでも選曲されることが多い。配信時代になっても新録は継続し、世代を超えて解釈が更新されている。

まとめ

舞台から生まれ、ポピュラーとジャズの両領域で生き続ける名バラード。「自分はいかなる愚か者なのか」という問いを核に、繊細さと劇的な高揚を併せ持つ設計が、歌い手にも聴き手にも強いカタルシスをもたらす。歴史的実績と普遍的テーマを兼備した、長寿命のレパートリーである。