Chain Of Fools

#R&B#洋楽ポップス

Chain Of Fools - 楽譜サンプル

「Chain Of Fools」はドン・コヴェイ作のソウル曲で、アレサ・フランクリンの歌唱により1967年にアトランティックから発売。プロデュースはジェリー・ウェクスラー。硬質なバックビートと呼応するコーラスを備えた歌ものとして知られ、翌年のアルバム「Lady Soul」にも収録された。

歌詞は「鎖」を比喩に、報われない関係に縛られた語り手の気づきと、断ち切ろうとする意志を描く。相手の不実を直視しつつ自己価値を再確認する流れが核。ゴスペル由来のコール＆レスポンスが、痛みと解放の両義性を増幅し、個の物語を普遍的エンパワメントへと押し広げる。

1960年代後半、公民権運動の高まりと並走してサザン・ソウルが躍進。アトランティックとスタックスの美学、教会音楽の熱気、R&Bの洗練が交差し、本曲はその結節点となった。フランクリンの声は社会の緊張と私的感情を架橋し、同時代のリスナーに強い共感を呼んだ。

決定版はフランクリンのシングル録音。揺れるギターと分厚いコーラスが象徴的で、多数のソウル／ロック歌手がカバーしてきた。ライブの定番曲としても定着。映画・ドラマやCMでの使用例はあるが、具体作品名は情報不明。

本曲はBillboard Hot 100で上位、R&Bチャートで首位を獲得し、グラミー最優秀R&B女性ボーカル賞も受賞。ローリング・ストーン誌「史上最高の500曲」に選出され、ソウルの基準曲として研究や批評で頻繁に引用される。カバーや新解釈を通じ、世代を超えて生命力を保つ。

ドン・コヴェイの書法とフランクリンの表現力が結晶した本作は、痛切な比喩と躍動するグルーヴで聴く者を掴む。個人的体験を普遍のメッセージへ昇華した名曲として、今なお強い説得力を放ち続ける。