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It Might As Well Be Spring

  • 作曲: RODGERS RICHARD
#スイング#スタンダードジャズ
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It Might As Well Be Spring - 楽譜サンプル

It Might As Well Be Spring|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Richard Rodgers作曲、Oscar Hammerstein II作詞による1945年の楽曲。映画『ステート・フェア』のために書かれ、同年のアカデミー賞歌曲賞を受賞した。映画発のポピュラー・ソングとして生まれたが、その抒情的な旋律と普遍的なテーマが評価され、ジャズやポップスの分野で幅広く演奏されるスタンダードへと定着している。

音楽的特徴と演奏スタイル

AABAの32小節形式を基調とする抒情的なバラード。柔らかな長音に跳躍や経過音を織り交ぜた旋律が特徴で、春先の落ち着かない心持ちを音楽的に描く。和声はII–V–Iや副次ドミナントを軸に、半音階的な動きが彩りを添える。ジャズ演奏ではルバートの序奏からミディアム・スウィングへ移行したり、ボサ・ノヴァ風の解釈を施す例も多い。即興ではガイドトーンを意識したフレージングや、トライトーン・サブスティテューション、経過的転調を用いた再ハーモナイズが効果的である。

歴史的背景

本曲はロジャース&ハマースタインが映画のために書いた代表作の一つ。『オクラホマ!』『回転木馬』と並ぶ時期の成熟した協働から生まれ、日常のときめきと季節の移ろいを重ねる世界観が当時の観客に広く受け入れられた。映画公開後、楽譜やレコードを通じて普及し、クラブやラジオで親しまれたことがスタンダード化を後押しした。

有名な演奏・録音

映画版サウンドトラックで広く知られるようになったのち、多くのボーカリストとジャズ・インストゥルメンタリストが録音を残している。バラードの気品を保つストリングス併用の編曲、ピアノ・トリオによる内省的な解釈、スウィング・コンボによる軽快なテンポ設定など、多彩なアプローチが存在する。特定の代表録音の優劣は時代や地域で評価が分かれるため、ここでは情報不明とする。

現代における評価と影響

今日では大学のジャズ教育やセッションでも頻出のレパートリーで、歌唱・器楽の双方で取り上げられる。内省的な歌詞と洗練された旋律が世代を超えて共感を呼び、映画音楽発の楽曲がジャズ語法の中で成熟していく好例として研究対象にもなる。配信時代においても新録が絶えず、少人数編成でも映えることからライブの定番曲として定着している。

まとめ

映画で生まれた名曲が、豊かな旋律と柔軟な和声構造ゆえにジャズ・スタンダードとして発展した好例である。AABA形式の明快さは学習やアレンジにも適しており、初学者から上級者まで多様な解釈で取り組める。歴史的背景と音楽的魅力の両輪が、現在も愛奏され続ける理由を支えている。