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Make Me A Memory (Sad Samba)
- 作曲: WASHINGTON GROVER (JR)

Make Me A Memory (Sad Samba) - 楽譜サンプル
Make Me A Memory (Sad Samba)|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Make Me A Memory (Sad Samba) は、サックス奏者グローヴァー・ワシントン・ジュニアによるインストゥルメンタル。1980年のアルバム『Winelight』に収録され、作曲者は本人。タイトルどおり哀感を湛えたサンバ感覚が核となり、メロディ主体の構成で幅広いリスナーに受け入れられてきた。アルト/テナーといった具体的な使用サックスの種類は情報不明だが、歌心の強いフレージングが印象を決定づけている。
音楽的特徴と演奏スタイル
中庸テンポのサンバ/ボッサ寄りのグルーヴに、柔らかなエレピとギター、パーカッションが重なる。主旋律は歌心の強いサックスが担い、拡張和音を用いた滑らかな進行の上で、テーマ—ソロ—テーマ—コーダという明快なフォームを踏襲。ダイナミクスは大きくせず、陰影と余韻で感情を描く。コードは9thや11thを含むジャズ的な色彩が濃く、ビートは軽やかでありながら哀愁を帯びる。
歴史的背景
本曲が収められた『Winelight』は1980年リリース。クロスオーバー/スムーズ・ジャズが台頭する時期に登場し、アルバム自体はグラミー賞を受賞するなど商業的・批評的成功を収めた。その文脈の中で、本曲は都会的で洗練されたサウンドの象徴的トラックとして位置づけられる。R&BやAORの質感とジャズの語彙を橋渡しする作風が、同時代のリスナーに親和的に響いたことも特徴である。
有名な演奏・録音
基準となる音源はオリジナルのスタジオ録音(『Winelight』収録)のみが広く知られる。作曲者自身のライヴでの定番性や、他アーティストによる著名カヴァーの具体例は情報不明。映画やドラマ等での使用事例についても情報不明。入門者はまずオリジナル音源で曲構造とサウンド・バランスを把握し、そのうえで各パートのアーティキュレーションを聴き取るのが有効だ。
現代における評価と影響
メロディの分かりやすさと洗練されたハーモニーにより、ジャズ入門層から上級のプレイヤーまで幅広く支持される。サンバの軽快さと哀愁を併せ持つ設計は、のちのスムーズ・ジャズ作品にも影響を与え、ラウンジ/AOR文脈でも親しまれる楽曲として定着している。演奏者にとっては、滑らかなレガート、音価のコントロール、そしてグルーヴに寄り添う間合いの取り方が学べるレパートリーである。
まとめ
Make Me A Memory (Sad Samba) は、情感豊かな旋律と控えめなグルーヴで記憶に残る一曲。ジャズの表現力とポップな聴きやすさを両立させ、アルバム『Winelight』の締めくくりとしても機能する。派手さを避けながら深い余韻を残す設計は、グローヴァー・ワシントン・ジュニアの美学を端的に示し、今日もなお多くのリスナーを魅了し続けている。