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Baby It's Cold Outside

  • 作曲: LOESSER FRANK
#スタンダードジャズ
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Baby It's Cold Outside - 楽譜サンプル

Baby It's Cold Outside|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Baby It's Cold Outsideは、作曲・作詞ともにフランク・レッサーによるデュエット曲。1944年に私的な余興として書かれ、のちに映画『Neptune's Daughter』(1949年)で広く知られ、同年のアカデミー賞歌曲賞を受賞した。男女の掛け合いで進む会話体の構成が特徴で、冬季やホリデーシーズンに頻繁に取り上げられるポピュラー/ジャズ・スタンダードとして定着している。発表形態は多様で、ビッグバンドから小編成、ラウンジ系アレンジまで幅広い。

音楽的特徴と演奏スタイル

中庸テンポのスウィング感を基調に、ピアノとリズムセクションを中心とする編成がよく用いられる。二人の声部が対話しつつ重なり合う書法で、カウンターメロディーや内声の動きが魅力。終盤に向けてユニゾンやハーモニーでまとめるアレンジも多い。キーは歌手に合わせて柔軟に移調され、テンポもラウンジ寄りのしっとりした解釈から軽快なスウィングまで幅がある。アドリブの長尺ソロより、フレージングとセリフ的ニュアンスの表現が聴きどころ。

歴史的背景

本作はレッサーがホームパーティーで披露する私的デュエットとして書かれたのが起点。その後MGM作品に採用され、1949年公開の『Neptune's Daughter』で全国的な知名度を獲得し、同年アカデミー賞の栄誉に輝いた。戦後アメリカのラウンジ文化やラジオの隆盛と相まって、季節感のある洒脱なダイアログ・ソングとして多くの歌手がカバー。以降、ポピュラーとジャズ双方のレパートリーに吸収され、標準曲化していった。

有名な演奏・録音

初期にはマーガレット・ホワイティング&ジョニー・マーサー(1949)の録音が知られる。その後、ディーン・マーティンの温かなバージョン、レイ・チャールズ&ベティ・カーター(1961)によるソウルフルな対話、近年ではトニー・ベネット&レディー・ガガ(2014)、イディナ・メンゼル&マイケル・ブーブレ(2014)など、多彩なデュエットが制作されている。各アーティストのキャラクターに応じてテンポ感や掛け合いのニュアンスが巧みに変化するのが聴きどころ。

現代における評価と影響

冬のスタンダードとして定着する一方、近年は歌詞のやり取りをめぐって同意の表現に関する議論が起こり、一部放送局で一時的に放送を見合わせる動きもあった(のちに復帰例あり)。その反響から、歌詞の言い回しを更新した版や、ジェンダーを入れ替えたデュエットなど新解釈も生まれている。結果として、楽曲は時代の価値観の変化を映しつつ演奏解釈の幅を広げ、スタンダードとしての生命力を保ち続けている。

まとめ

Baby It's Cold Outsideは、機知に富む会話体のデュエットと洗練されたスウィング感で愛される季節曲であり、映画を起点にスタンダード化した代表例。名演の蓄積と現代的再解釈が並走し、歌手の表現力を引き立てるレパートリーとして今なお広く演奏されている。