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You Must Believe In Spring

  • 作曲: LEGRAND MICHEL JEAN, DEMY JACQUES LOUIS RAYMOND MARCEL
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ#ムードミュージック
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You Must Believe In Spring - 楽譜サンプル

You Must Believe In Spring|楽曲の特徴と歴史

基本情報

You Must Believe In Spring は、Michel Legrand(ミシェル・ルグラン)作曲、Jacques Demy(ジャック・ドゥミ)が深く関与した楽曲で、後年ジャズ・シーンでスタンダード化した名曲です。英語詞はAlan Bergman・Marilyn Bergmanが手がけ、原曲はドゥミ監督の映画『ロシュフォールの恋人たち(Les Demoiselles de Rochefort)』の音楽に由来する旋律として知られます。流麗なメロディと豊かな和声進行が特徴で、歌唱・器楽の双方で広く演奏されています。

音楽的特徴と演奏スタイル

柔らかな上行フレーズと転調を伴う和声が織りなす、抒情的で気品あるバラード。II-V進行を軸にしつつ、半音階的な動きと多彩な終止形が繊細な陰影を生みます。ジャズではミディアム・スローからルバートのイントロを経るバラード解釈が定番で、ピアノ・トリオでは内声の再配置やテンションの拡張によるリハーモナイズが映えます。ヴォーカルでは長い息でレガートに旋律を紡ぎ、歌詞の含意を保つためダイナミクスを控えめに設計するアプローチが好まれます。器楽ではテーマの余韻を残すフェルマータやコーダの再提示が効果的です。

歴史的背景

本曲のメロディは、ルグランとドゥミのコラボレーションから生まれた映画音楽に源流があり、後年Bergman夫妻の英語詞が付与されて独立した楽曲として広まりました。フランス映画由来の旋律美とアメリカン・ソングブック的語法が結びついたことで、ジャズ・ミュージシャンにとって解釈の余地が大きいレパートリーとなり、コンサートや録音で定着。映画音楽からジャズ・スタンダードへと発展した好例として位置づけられます。初演年や英語詞の公的初出年は情報不明です。

有名な演奏・録音

象徴的なのは、Bill Evansが取り上げた録音で、洗練されたハーモニーと深い間合いが曲の本質を鮮やかに示しました。ルグラン自身によるオーケストラ編曲やピアノを軸とした演奏も広く親しまれており、映画音楽的な色彩美とジャズ的自由度の双方を体現しています。このほか、多くのヴォーカリストやピアニストがレパートリーに加え、バラード・アルバムやステージのハイライトとして録音が重ねられています。個別の録音年やチャート情報は情報不明です。

現代における評価と影響

現在もジャズ教育の現場やセッションで支持され、上質なバラードの教材として取り上げられます。独特の転調設計はアレンジャーにインスピレーションを与え、室内楽的な小編成からストリングスを伴う拡張編成まで対応可能。映画音楽とジャズの橋渡しを示すレパートリーとして評価が高く、時代や編成を超えて演奏され続けています。

まとめ

映画音楽に根差しつつ、英語詞とジャズ解釈によってスタンダード化した本曲は、旋律の普遍性と和声の豊かさを兼ね備えています。瞑想的な美しさを湛えるバラードとして、聴き手に静かな余韻を残し、演奏者には高度な表現の余地を与える—それがYou Must Believe In Springの持続的な魅力です。