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Someone To Light Up My Life (Se Todos Fossem Iguais A Você)

  • 作曲: JOBIM ANTONIO CARLOS
#ボサノバ#スタンダードジャズ
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Someone To Light Up My Life (Se Todos Fossem Iguais A Você) - 楽譜サンプル

Someone To Light Up My Life (Se Todos Fossem Iguais A Você)|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Someone To Light Up My Life(原題:Se Todos Fossem Iguais A Você)」は、作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンによるボサノヴァ/サンバ・カンソン系の名曲。原詞は詩人ヴィニシウス・ジ・モライス、英語詞は音楽評論家・作詞家ジーン・リーズによって付けられ、以後ジャズ・ヴォーカルのレパートリーとしても親しまれている。初出は舞台作品「Orfeu da Conceição」(1956年)とされ、のちに多くの歌手・奏者が録音した。

音楽的特徴と演奏スタイル

繊細で伸びやかな旋律線と、メジャー7thや9th、11thなど拡張和音を生かした上品な和声が特徴。内声での半音階的な動きが感傷的な情緒を作り、ミディアム〜スロウのサンバ・フィール、あるいは静謐なボサ・グルーヴがよく合う。ヴォーカルは語りかけるようなレガートが要で、ピアノやギターはテンションを丁寧に配置して余白を活かすと曲の魅力が際立つ。キーやテンポは演者により幅があるが、過度なルバートよりも呼吸感を大切にしたアプローチが主流だ。

歴史的背景

1950年代半ばのリオ・デ・ジャネイロで、ジョビンとモライスの協働はボサノヴァ誕生へと連なる重要な出来事となった。本曲はその系譜の中で、サンバ・カンソンの叙情と近代的和声感の融合を体現する一例であり、後年の英語詞版の普及によって米国ジャズ界にも広く浸透。ボサノヴァが国境を越えるうえで、スタンダード化に貢献したレパートリーの一つとして位置づけられる。

有名な演奏・録音

本曲はブラジルの名歌手によるポルトガル語版、米国ジャズ・ヴォーカリストの英語詞版ともに多数の録音が存在する。デュオ編成からスモール・コンボ、オーケストラ・アレンジまで幅広く取り上げられ、ボサノヴァ特集やジョビン作品集の定番曲として収録されることが多い。特定の決定的名演の一本化は情報不明だが、レパートリーの広がりが曲の生命力を物語っている。

現代における評価と影響

今日ではジャズ/ボサノヴァ双方の現場で愛唱されるスタンダード。音大やワークショップの教材としても扱われ、和声運用や歌詞表現、リズムのニュアンスを学ぶ格好の題材となっている。ギターのコードメロディやピアノのソロ・リハーモナイズ、室内楽的アレンジなど解釈の自由度が高く、世代や国境を超えて演奏が更新され続けている点も評価の理由だ。

まとめ

叙情的旋律と洗練された和声、そして穏やかなリズムが融合した本曲は、ボサノヴァの魅力を凝縮した一編であり、ジャズ・スタンダードとしても確固たる地位を築いた。原詞版と英語詞版の両面で楽しまれ、編成や解釈を選ばない汎用性も高い。録音や演奏のバリエーションに触れつつ、自分に合うテンポと音色で“光”のニュアンスを探ることが、この曲を深く味わう鍵となる。