あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

The Promise

  • 作曲: COLTRANE JOHN
#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

The Promise - 楽譜サンプル

The Promise|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「The Promise」はサックス奏者ジョン・コルトレーン(John Coltrane)作曲のインストゥルメンタル。初出は1964年リリースのアルバム『Live at Birdland』(Impulse! Records)。録音は1963年、ニューヨークのバードランドでの公演で収められたテイクとされ、演奏陣はクラシック・カルテットのジョン・コルトレーン、マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ガリソン(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)。公式な歌詞は存在せず、作詞者は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

本作はモーダル志向の和声感と持続低音に支えられた広がりのあるフォームが特徴。タイナーの四度堆積を多用した和音、ガリソンの堅牢なペダル、ジョーンズのポリリズムが相互に呼応し、サックスの長尺ソロを強靭に推進する。テーマは簡潔で、動機の反復とダイナミクスの積み上げによって緊張と解放を段階的に形成。集団即興のバランス感覚が際立つ演奏である。

歴史的背景

「The Promise」は、インパルス期のコルトレーンがクラシック・カルテットとともに到達したサウンドを象徴する一曲。併録の「Alabama」を含む『Live at Birdland』は、1963年前後の時代状況の緊迫を背景に制作された重要作として位置づけられる。ただし「The Promise」という題名の意図や成立過程の詳細は情報不明で、楽曲自体のメッセージ性も明言されていない。『至上の愛』(1964)へ向かう創作の過程を示す作品群の一角として理解される。

有名な演奏・録音

決定的なリファレンスはコルトレーン自身の『Live at Birdland』収録テイクで、音質・内容ともに標準的な参照源となっている。他アーティストによる広く知られたカバー、あるいは映画・テレビ等での顕著な使用例は情報不明。未発表音源や別テイクの詳細な出所・流通状況についても現時点では情報不明である。

現代における評価と影響

「Giant Steps」や「Naima」ほどの普及度こそないが、モーダル期の語法、特にリズム・セクションの相互作用とダイナミクス設計を学ぶ教材として評価が高い。ペダルを核にした張力の維持、四度和声の色彩、ポリリズムの推進力は、現代ジャズ奏者・研究者の分析対象としてしばしば引用され、コルトレーン四重奏のアンサンブル美学を知る手がかりとなっている。

まとめ

「The Promise」は、簡潔な主題から豊かな即興世界を開く、コルトレーン四重奏の美学を凝縮した楽曲である。確かな録音資料として『Live at Birdland』を軸に、判明事項と不明点を切り分けて聴くことで、モーダル期のエッセンス—集団による緊密な呼吸と長大なアーク—がより鮮明に立ち上がる。