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Besame Mucho

  • 作曲: VELAZQUEZ DE RIVERA CONSUELO
#ラテン#スタンダードジャズ
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Besame Mucho - 楽譜サンプル

Besame Mucho|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Besame Muchoは、メキシコの作曲家コンスエロ・ベラスケスによる1940年のボレロ。原詞はスペイン語で、恋の切なさと抱擁への希求を歌う。ラテン音楽の古典であると同時に、ジャズ界でも広く取り上げられ、いまや国際的なスタンダードとして定着している。多くのアーティストが言語や編成を越えて録音し、時代を超えて親しまれている。

音楽的特徴と演奏スタイル

ゆったりした4拍子にハバネラ由来のアクセントを持つボレロのリズムが核。旋律は短調に寄り、半音階的な動きと大きな跳躍が情熱的な陰影を生む。ジャズではラテン・バラードのフィールで演奏されることが多く、テンポを落としたヴォーカル版から、リハーモナイズを施したモダンな解釈、ギターやピアノを中心としたインストゥルメンタルまで幅広い。歌詞の全文は扱わないが、別れや不安を前にした切実な愛の表明が核心にある。

歴史的背景

発表当時、ラテン圏ではボレロが黄金期にあり、ラジオや映画を通じて楽曲は急速に拡散した。メキシコのみならず米国や欧州でも受け入れられ、スペイン語歌の名曲としての地位を確立。第二次世界大戦期から戦後にかけて、ダンスホールやキャバレーの定番曲となり、国境を越えるヒットとなった。作曲者の若き創作が世界標準のレパートリーへと育っていった点が本作の特筆点である。

有名な演奏・録音

初期の録音としてはエミリオ・トゥエロによる1941年の音源が知られる。ボレロの代表的解釈ではトリオ・ロス・パンチョスが名高い。ポップス側ではザ・ビートルズが1962年のデッカ・オーディションで披露した記録が広く知られ、ジャズではギタリストのウェス・モンゴメリーらが取り上げている。これらの多様なアプローチが、楽曲の普遍性と可塑性を裏付ける。

現代における評価と影響

今日もボーカル、ジャズ、クラシカル・クロスオーバーまで多言語で歌われ、アンサンブルのレパートリーとして取り上げられることが多い。映画やテレビでの使用例も見られ、ストリーミング時代においても新録とアーカイブの両輪で聴かれ続ける。シンプルで記憶性の高い旋律と柔軟な和声進行が、世代やジャンルを越えた再解釈を促し、スタンダードとしての地位を確固たるものにしている。

まとめ

Besame Muchoは、簡潔な素材に豊かな情感と解釈余地を併せ持つ稀有なスタンダード。ボレロの伝統を核にしつつ、ジャズやポップスへ橋渡しする力を持ち、今後も多彩なアーティストによって更新され続けるだろう。