あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

Smokey Robinson & The Miracles

The Tracks Of My Tears

  • 作曲: MOORE WARREN THOMAS,ROBINSON WILLIAM (JUN),TARPLIN MARVIN
#R&B#洋楽ポップス
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

The Tracks Of My Tears - 楽譜サンプル

The Tracks Of My Tears|歌詞の意味と歴史

基本情報

Smokey Robinson率いるThe Miraclesが1965年にTamla(Motown)から発表したシングル。作曲はWarren “Pete” Moore、William “Smokey” Robinson Jr.、Marvin Tarplin。アルバム『Going to a Go-Go』にも収録され、Tarplinの印象的なギター・リフと緻密なコーラス・ワークが核となる、モータウンを代表するバラードである。

歌詞のテーマと意味

表向きは微笑み、内面では失恋の痛みを抱える語り手という対比が中心。タイトルの“涙の跡”は、隠そうとしても消えない心の傷のメタファーで、自己防衛と本音のせめぎ合いを描く。明るく滑らかなメロディと、繊細なファルセットが感情の奥行きを強調し、普遍的な共感を呼ぶ。比喩表現と反復を活かした詞構成は、短いフレーズで情景を喚起する巧みさが際立つ。

歴史的背景

1960年代中期のモータウン黄金期に誕生。ポップ市場へのクロスオーバーを志向する制作体制の中で、The Miraclesは都会的で洗練された物語性を提示した。Tarplinのギター・モチーフを基に、リズム・セクションとコーラスの呼応が組み上げられ、短い尺で情感を高める当時のプロダクション哲学が結実。同時代のソウルとポップの境界を軽やかに横断するサウンドは、後続のラブバラードの範型となった。

有名な演奏・映画での使用

オリジナルに加え、Linda Ronstadtによる1975年のカバーはカントリー・ロック的アプローチで新たな魅力を示した。ほかにも多数のアーティストが解釈を重ね、世代とジャンルを超えて歌い継がれている。映画・テレビでの具体的な使用作品名は情報不明だが、穏やかなテンポと切ないメロディが映像文脈に適合しやすく、ポピュラー文化で広く親しまれてきた。

現代における評価と影響

繊細な言葉選びと忘れがたいメロディ、節度ある感情表現は、ソングライティングの手本として現在も参照される。ストリーミング時代においてもプレイリストの定番曲で、ライブのカバーやトリビュートでも頻繁に取り上げられる。モータウンサウンドの核—グルーヴ、ハーモニー、物語性—を凝縮した一曲として、ポップスとソウル双方の文脈で評価が揺らがない。

まとめ

「The Tracks Of My Tears」は、笑顔の裏に潜む哀しみを普遍的な言語と音で描いた名曲である。1965年の初出から半世紀以上を経ても色褪せず、作曲・編曲・歌唱が有機的に結び付く理想的なポップ・ソウルのモデルとして聴かれ続けている。名演と多様なカバーが作品の生命力を更新し、モータウンの美学を今日へと橋渡ししている。