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Caminhos Cruzados
- 作曲: JOBIM ANTONIO CARLOS,MENDONCA NEWTON FERREIRA DE

Caminhos Cruzados - 楽譜サンプル
Caminhos Cruzados|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Antonio Carlos JobimとNewton Ferreira de Mendonçaによる「Caminhos Cruzados」は、ボサノヴァ起源のスタンダード。原題はポルトガル語で「交差した道」を意味し、ポルトガル語の歌詞版が存在する。作曲・作詞の初出年や初演情報は情報不明だが、ブラジル音楽とジャズ双方のレパートリーで定着し、器楽曲としても歌ものとしても広く演奏されている。正式クレジットは提示の通りで、英語題は慣用的に“Crossed Paths”とされる場合があるが、出版上の表記は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
中庸テンポのボサノヴァ・グルーヴに乗せ、柔らかな旋律が和声の色彩変化とともに滑らかに進行する。シンコペーションは控えめで、ギターの分散和音と低音の二拍感、ドラムのブラシが繊細な推進力を生む。和声は拡張音(9th, 11th, 13th)や代理和音を多用し、半音階的な内声進行が印象的。ヴォーカルは息遣いを活かした親密な発声が合い、インストではピアノやサックスがレガート主体で歌心を引き出す。冒頭に自由時間のルバートを置く導入も行われることがある。
歴史的背景
本作が生まれた文脈は、1950年代末のリオ・デ・ジャネイロで花開いたボサノヴァ運動にある。サンバのリズム感と欧米和声を室内楽的に統合した新潮流の中で、JobimとMendonçaは重要な創作パートナーシップを築いた。ボサノヴァはやがてジャズ界と結びつき国際的に普及し、本曲もそのレパートリーに加わった。リリース年や初録音の詳細は情報不明だが、運動初期の美学を端正に体現する一例として受容されている。
有名な演奏・録音
「Caminhos Cruzados」はブラジル本国の歌手・器楽奏者はもちろん、海外のジャズ・ミュージシャンにも多く取り上げられてきた。ギター弾き語りからピアノ・トリオ、サックス・アンサンブルまで編成適応性が高く、ライヴやセッションでも頻出する。代表的な録音の具体的リストや初出盤の特定は情報不明だが、録音・出版物の蓄積により、各国でスタンダードとしての地位を確立している。
現代における評価と影響
今日では、ジャズ/ボサノヴァの教材やワークショップでも題材にされ、ボイシング、内声処理、ボサノヴァ・コンピングの練習曲として重宝される。歌詞付き・インスト双方で映えるため、コンサートの雰囲気づくりにも適している。ストリーミングの普及で聴取機会が広がり、新世代の演奏家による再解釈も進むなど、継続的に参照されるレパートリーであり続けている。
まとめ
繊細なリズムと豊かな和声、歌心あるメロディを兼ね備えた「Caminhos Cruzados」は、ボサノヴァからジャズへ架橋する重要曲である。初出データの一部は情報不明ながら、演奏現場で磨かれてきた普遍性は揺るがない。歴史的文脈を踏まえつつ、自身の音色と呼吸でフレージングを設計すれば、この曲本来の静かな熱量が自然に立ち上がるだろう。