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Canto de Ossanha

  • 作曲: DE MORAES VINICIUS,POWELL BADEN
#ボサノバ
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Canto de Ossanha - 楽譜サンプル

Canto de Ossanha|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Canto de Ossanha」は、ギタリスト/作曲家バーデン・パウエルと詩人ヴィニシウス・ヂ・モライスの共作による楽曲。1966年の共作アルバム「Os Afro-Sambas」に収められ、アフロ・ブラジル宗教の世界観をサンバに統合した代表作とされる。歌詞付きで発表され、ポルトガル語で歌われるのが基本形。タイトルの「オッサンヤ」は薬草と治癒を司るオリシャ(神)の名で、祈りと戒めを含むテキスト、力強いリズム、印象的な旋律が一体となった構成が特徴だ。

歌詞のテーマと意味

歌詞はオリシャへの呼びかけを軸に、人の心を揺さぶる誘惑や安易な約束に流されず、知恵と節度を保てというメッセージを含むと解釈される。恋愛や欲望への過信への警鐘、そして本質を見極める冷静さの重要性が詠われ、祈りの言葉と世俗の教訓が交差するのが特色。宗教的モチーフや固有名が多く、カンドンブレやヨルバ系信仰の基礎知識を持つと語句や象徴の理解が深まる。歌詞の全文は非掲載。

歴史的背景

1960年代のリオ・デ・ジャネイロでは、サンバやボサノヴァにアフロ起源のリズム/信仰を重ねる試みが活発化。パウエルとモライスは合唱や打楽器を取り入れ、儀礼的な響きをもつ旋律と都会的な和声で新機軸「アフロサンバ」を確立した。本曲は同路線の中心曲で、ブラジル音楽の伝統とモダンなソングライティングを橋渡しし、以後のMPBに宗教的・民族的題材を取り込む潮流を促した。

有名な演奏・映画での使用

初出は1966年作「Os Afro-Sambas」で、コーラスにQuarteto em Cyが参加し象徴的な合唱を添えた。以後、パウエル自身がギター主導の再録やライヴで繰り返し取り上げ、ブラジルの多様な歌手・器楽奏者、さらにジャズ系アーティストへとレパートリーが広がっている。テンポ、キー、編成の解釈幅が広く、ボーカル版から器楽アレンジまで親しまれる。映画での使用は情報不明。

現代における評価と影響

本曲はMPB/サンバのみならず、ワールドミュージックやジャズの現場でも準スタンダードとして扱われる。独特の旋律線とハーモニー進行、コール&レスポンス的合唱は、ギタリストやボーカリストの教材としても定評がある。宗教的象徴とポピュラー音楽の融合例として研究対象となり、国際的なカバーが途切れないことが普遍性を裏づける。配信時代でもプレイリスト常連の名曲だ。

まとめ

「Canto de Ossanha」は、祈りと戒めを内包した言葉と、サンバの躍動を結びつけたアフロサンバの金字塔。1966年の誕生以来、多様なアレンジで受け継がれ、文化的コンテクストを学ぶほどに味わいが深まる。歌詞とリズムの両面に聴きどころが多く、入門曲としても再発見の対象としても魅力的な一曲である。