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Insensatez

  • 作曲: JOBIM ANTONIO CARLOS
#ボサノバ
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Insensatez - 楽譜サンプル

Insensatez|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Antonio Carlos Jobim(アントニオ・カルロス・ジョビン)作曲のボサノヴァ「Insensatez」は、英題の「How Insensitive」でも知られる。原詞は詩人Vinícius de Moraes、英語詞はNorman Gimbel。多くの場合、4/4の中庸テンポで演奏され、ヴォーカルとインストゥルメンタルの双方に定番。初期の決定的録音は1960年代に集中し、現在も世界中のジャズ/ラテンの現場で愛奏されている。

音楽的特徴と演奏スタイル

AABAの32小節形式。短調を基調に、低音が半音階で下降するバス・ラインと、借用和音を用いた洗練された機能和声が特徴。A部は静かな緊張感を保ち、B部で親密な転調や明度の変化を見せた後、Aに回帰する。ボサノヴァ特有のシンコペーションは控えめで、ギターの分散和音や軽やかなブラシがよく合う。歌唱ではレガートと弱声が効果的で、インストではテンポ・ルバートのイントロやアウトロも好まれる。

歴史的背景

1950年代末に興ったブラジルのボサノヴァ運動の成熟期に生まれ、ジョビンとモラエスの名コンビによる感情と節度の両立を示す一曲となった。1960年代半ばには英語詞の普及と米国市場での受容により国際的スタンダード化が進行。1963年のジョビンのアルバム収録などを通じて、ブラジル外でも広く知られるようになった。

有名な演奏・録音

代表的な録音には、Frank Sinatra & Antonio Carlos Jobim(1967)の上品なデュオ作、ジョアン・ジルベルトやアストラッド・ジルベルトのヴォーカル版、スタン・ゲッツらによるジャズ・サックスの解釈がある。クラシック寄りのピアニストによる室内楽的アレンジも多く、ギター・デュオ、ピアノ・トリオ、ビッグバンドまで多彩な編成で再創造されてきた。

現代における評価と影響

現在もジャズのフェイクブックや教育現場で必修曲として扱われ、初学者には和声運びの学習素材として、中上級者には音価のコントロールやダイナミクス設計の練習曲として重宝される。映画やドラマでの使用例も散見されるが、特定作品名は情報不明。配信時代にはローファイやアンビエント的な解釈も増え、ジャンル横断の魅力を保っている。

まとめ

Insensatezは、端正なボサノヴァの語法に高度な和声感覚を重ね、感情の陰影を静かに描く永遠のスタンダードである。歌でも器楽でも映える汎用性の高さが、半世紀以上にわたり演奏され続ける理由だ。