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Romaria
- 作曲: RENATO TEIXEIRA
#ボサノバ

Romaria - 楽譜サンプル
Romaria|歌詞の意味と歴史
基本情報
ブラジルのソングライター、レナート・テイシェイラ作「Romaria」は、題名の通り“巡礼”を意味するポルトガル語の歌。1977年にエリス・レジーナの録音で広く知られ、以後MPBとムジカ・カイピーラを結ぶ代表曲として定着した。作者自身もたびたびセルフカバーしている。
歌詞のテーマと意味
歌詞は内陸の労働者が聖母アパレシーダへ祈りを捧げる語り口で進み、貧しさや流転の痛み、共同体への帰属を素朴な言葉で描く。宗教的信仰と日常のリアリズムが交差し、個の嘆きが共同体の祈りへ昇華する構図が核。印象的なリフレインが求心力を担うが、全文の引用はここでは行わない。
歴史的背景
1970年代ブラジルは都市化と軍政下の社会不安が併存し、土着文化の再評価が進んだ。各地の“ロマリア(巡礼)”慣習、とりわけ聖母アパレシーダ信仰は結束の象徴。本作はそうした宗教性とMPBの洗練を結び、都市の聴衆にも農村の感性を届けた。初出年は1977年。
有名な演奏・映画での使用
決定版とされるのはエリス・レジーナの録音で、その情感豊かな歌唱が普及を決定づけた。作者レナート・テイシェイラのライブ、アルミール・サッターとの共演版なども評価が高い。映画での使用は情報不明だが、国内の式典やテレビ音楽企画で取り上げられる機会は多い。
現代における評価と影響
現在「Romaria」はMPBの古典として世代を超えて歌い継がれ、宗教行事や地域フェスのステージでも定番となっている。都市と地方、俗と聖のあわいを往還するナラティブは、ポルトガル語圏外の聴衆にも共感を呼び、ブラジル音楽の入口としても機能する。
まとめ
巡礼という共同体的体験を個の声で語り直した名曲。素朴な旋律と語りの抑揚、祈りと現実が交錯する詩情が、初演から今日まで古びない魅力を放ち続ける。背景を踏まえて聴くほど奥行きが増す一曲だ。