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Travessia

  • 作曲: NASCIMENTO MILTON
#ボサノバ
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Travessia - 楽譜サンプル

Travessia|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Travessia」は、ブラジルの歌手・作曲家ミルトン・ナシメントによる1967年の楽曲。作詞は長年の共同作業者フェルナンド・ブラント。MPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)を代表するバラードで、同年の第2回国際歌謡祭で披露され注目を集め、ナシメントの出世作となった。デビュー期の録音に収められ、その後もコンサートの定番として歌い継がれている。

歌詞のテーマと意味

タイトルの“Travessia(横断・越境)”が示すように、楽曲は別れと再生、孤独から希望へと踏み出す内面的な旅路を描く。過去への執着を断ち、未知へと歩む決意が、静かな語りと大きな旋律のうねりで表現される。直接的な物語描写よりも比喩を重ね、聴き手が自身の経験に重ね合わせやすい普遍性を持つのが特徴である。

歴史的背景

1960年代後半のブラジルでは、ボサ・ノヴァ以後の新潮流としてMPBが台頭し、テレビ主催の音楽祭が新世代の登竜門となっていた。1967年、ナシメントはこの楽曲で広く名を知られ、作詞家ブラントとのコンビも確立。以後のキャリアを方向づける象徴曲として位置づけられ、国内外での評価へとつながっていく。

有名な演奏・映画での使用

代表的な録音として、ナシメント自身によるオリジナル・ヴァージョンが挙げられるほか、英語詞版「Bridges」としても知られ、国外の歌手たちに取り上げられてきた。特にサラ・ヴォーンが1977年のアルバムで歌った解釈は、世界的な認知拡大に寄与した録音の一つとして知られる。映画での顕著な使用は情報不明。

現代における評価と影響

「Travessia」はナシメントの代表曲として定着し、MPBの重要レパートリーとして教育現場やリサイタルで取り上げられる機会が多い。豊かな和声進行と旋律線は多様な編成に適応し、シンガーにとってはダイナミクスと発音のコントロールが試される曲として評価されている。カバーの蓄積がその普遍性を裏づけている。

まとめ

個人的な越境を歌い上げた「Travessia」は、1967年の登場以来、国と世代を越えて響き続けるバラードである。明快なメロディと詩情豊かな歌詞、MPBの洗練を体現する編曲が相まって、初聴にも深い印象を残す。基礎情報を押さえたうえで、英語版や各種カバーを聴き比べれば、本曲の奥行きが一層明らかになるだろう。