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Skylark

  • 作曲: CARMICHAEL HOAGY
#スタンダードジャズ
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Skylark - 楽譜サンプル

Skylark|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Skylarkは、作曲CARMICHAEL HOAGY、作詞Johnny Mercerによる1941年発表の名曲で、アメリカン・ソングブックを代表するジャズ・スタンダードの一つ。小鳥に語りかける詩情あふれるテキストと、伸びやかで忘れがたい旋律が特徴で、ボーカル/インストゥルメンタル双方で広く演奏され続けている。初期のポピュラー音楽シーンからジャズのレパートリーへと定着し、今日まで数多くの録音が残る。

音楽的特徴と演奏スタイル

形式は典型的な32小節のAABA。A部は広い音域としなやかな跳躍進行が印象的で、B部では転調感と循環進行がさりげなく緊張感を生む。ハーモニーはセカンダリー・ドミナントやii–V進行が巧みに配され、旋律の長い息遣いを支える。テンポは主にバラード〜ミディアム・スロー。ボーカルではルバートの導入やブレスの置き方、言葉の子音・母音の処理が表現の要となる。インストではテーマのレガートと間(スペース)を活かし、ソロはガイドトーンとテンションの流れを明確に描く解釈が好まれる。

歴史的背景

CarmichaelとMercerは1930年代から交流があり、本作は1941年に完成。ビッグバンドとラジオが大衆音楽を牽引した時代に、詩的で内省的なバラードとして注目を集めた。第二次世界大戦前後のアメリカで、多様な歌手・楽団に取り上げられ、ポピュラーとジャズの垣根を越えて浸透。やがて“歌の名曲”としての存在感に加え、アドリブ素材としても重宝され、教育現場やセッションでも定番化した。

有名な演奏・録音

1942年にはDinah ShoreやBing Crosbyの録音がヒットし、曲の知名度を決定づけた。作曲者Hoagy Carmichael自身の歌唱も親しまれている。ジャズ側では、Ella Fitzgeraldの“Johnny Mercer Songbook”(1964)収録版が決定版の一つとして評価が高い。ピアノではBill Evansが“Conversations with Myself”(1963)で精緻な解釈を示し、ボーカルではAretha Franklin(1963)も名唱を残した。Sarah VaughanやCarmen McRaeほか多くの歌手、管楽器奏者による多彩な解釈が存在する。

現代における評価と影響

Skylarkは、歌詞の叙情性と和声進行の豊かさが両立する教材的価値の高い曲として、大学・音楽学校やワークショップのレパートリーに定着。コンサート、クラブ、レコーディングで継続的に演奏され、世代やスタイルを超えて解釈が更新されている。バラード表現の指標となる一方、ミディアムでの再構成やモダンなリハーモナイズにも耐える懐の深さが、スタンダードとしての寿命を支えている。

まとめ

Skylarkは、詩的世界と高度な音楽性を兼ね備えた不朽のスタンダードである。AABAの端正なフォームに乗る伸びやかな旋律は、シンガーにもインスト奏者にも表現の余地を与え、時代を越えて新しい名演を生み続ける。名録音を手がかりに、歌詞のニュアンスとハーモニーの推進力を読み解けば、この曲の魅力はさらに深く響く。