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A Rã (The Frog)

  • 作曲: DONATO JOAO
#ボサノバ
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A Rã (The Frog) - 楽譜サンプル

A Rã (The Frog)|楽曲の特徴と歴史

基本情報

A Rã(ポルトガル語で「カエル」)は、ブラジルの作曲家・ピアニストであるJoão Donato(表記ゆれ:Joao Donato、クレジット上はDONATO JOAO)による作品。英語圏ではThe Frogの題で流通し、ジャズ/ラテンの現場でしばしば取り上げられる。発表年や初出アルバムの厳密な情報は情報不明だが、1970年代以降に国際的なレパートリーとして浸透したことは確かで、ブラジリアン・ジャズの代表的インスト曲として認知されている。

音楽的特徴と演奏スタイル

本作は軽快なサンバ〜ボッサのグルーヴを基調に、反復的なリフとシンコペーションが推進力を生む構造が特徴。ピアノ(またはエレピ)がリズミックな分散和音とオスティナートで土台を作り、ベースは跳ね感のあるラインで躍動感を付与。パーカッションはスルドやパンデイロ的な役割を想起させる配置で、16分系の細かな装飾が曲全体の弾力を高める。メロディは短いモチーフの反復とコール&レスポンス的展開が中心で、ソロはコード・ヴァンプ上のアドリブが映える。テンポは中速〜やや速めが一般的で、スウィングというより“前のめりの跳躍感”を狙うのが定石。ブラスやフルートのユニゾンでテーマを色付けする編成も定番である。

歴史的背景

João Donatoはボッサ・ノヴァの形成期から活躍し、後年はファンク/フュージョンの語法も柔軟に取り込んだ。A Rãはそうした越境性を象徴する一曲として受け止められ、ブラジル国内外のミュージシャンに広がった。英題The Frogでクレジットされることが多く、出版・録音データの細部は情報不明ながら、70年代以降のブラジリアン・ジャズ/MPB文脈で頻繁に演奏されるようになり、ダンスフロアとジャズクラブ双方で支持を得た。

有名な演奏・録音

代表録音の網羅的な一覧は情報不明だが、作曲者ドナート自身の演奏は基準的なリファレンスとして扱われることが多い。加えて、英語圏のジャズ・バンドやビッグバンドによるアレンジも多く、リズム・セクションのドライブ感とホーンの明快なハーモニーが映える。タイトル表記はA Rã/A Ra/The Frogなど揺れがあるため、音源探索時には別名義も併記して検索すると見つけやすい。

現代における評価と影響

A Rãはセッションで“すぐに機能する”リフ構造と耳に残る主題により、世代や国境を越えて演奏され続けている。スムーズなダンスフィール、反復の快感、ミニマルなモチーフ処理は、現代のクラブ・ジャズやアシッド・ジャズ的美学とも親和性が高い。教育現場では、サンバ系のコンピングやシンコペーションの習得、アンサンブルのダイナミクス構築を学ぶ教材としても適していると評価される。

まとめ

A Rã(The Frog)は、シンプルな素材を巧みに循環させ、グルーヴと色彩感で聴き手を惹きつけるブラジリアン・ジャズの定番曲。詳細な初出情報は情報不明ながら、演奏現場での実用性と高い汎用性によりスタンダード化した。表記ゆれに注意しつつ、作曲者自身の録音を起点に複数の解釈を聴き比べたい。