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Ebb Tide

  • 作曲: MAXWELL ROBERT
#洋楽ポップス
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Ebb Tide - 楽譜サンプル

Ebb Tide|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Ebb Tide」は、作曲家ロバート・マックスウェルが1953年に発表した英語のポピュラー・バラード。作詞はカール・シグマン。発表当初から、歌唱版とオーケストラによるインストゥルメンタルの双方で広まり、ラジオやレコードを通じて国際的に知られるようになった。穏やかで大きくうねるメロディは、海の満ち引きを思わせる構成が特徴で、静かな序奏から頂点へ向かうドラマ性を備える。

歌詞のテーマと意味

タイトルの“Ebb Tide”は引き潮を意味する。歌詞は、潮の動きと愛の機微を重ね合わせ、離別と再会への希求を静かな高揚で描く。寄せては返す波、岸辺、月明かりといった海のイメージが繰り返し現れ、心の揺らぎと期待が段階的に増していく構造。直接的な叙述より比喩を重んじ、最後に満ち潮へ向かうような収束感を提示し、希望と安堵をもたらす作りになっている。

歴史的背景

第二次世界大戦後のポピュラー音楽界では、ストリングス主体の豊かな編曲と甘美な旋律を持つスロー・バラードが広く支持された。ハープ奏者としても活動したマックスウェルは、波動を思わせる旋律線でその潮流を代表する一曲を提示。多作の作詞家シグマンが言葉を与え、楽譜出版とレコード市場を通じてスタンダード化していった。こうして楽曲は、歌手とインストゥルメンタル双方の定番レパートリーとして受容が進んだ。

有名な演奏・映画での使用

代表的な録音として、Frank Chacksfield & His Orchestraによるインスト版、The Plattersの歌唱、The Righteous Brothersの壮麗なアレンジが広く知られる。特にThe Righteous Brothersの演奏は重厚なサウンドで楽曲のドラマ性を強調し、以後の解釈に影響を与えた。その他にも多数のアーティストが取り上げており、録音史は豊富である。映画での顕著な使用については情報不明。

現代における評価と影響

今日でも、戦後ポピュラー・バラードの代表曲としてコンサートやリサイタルのレパートリーに選ばれ、オーケストラ、ジャズ寄りの小編成、ソロ・ボーカルなど多様な形で演奏される。旋律の広がりとクレッシェンドに適した構成は、編曲者にとって表現の余地が大きく、スタンダードとしての生命力を保ち続けている。配信時代でも往年のポップスやイージーリスニングを扱う定番プレイリストにしばしば収録され、新しい聴衆を獲得している。

まとめ

海のイメージと恋情を重ねた「Ebb Tide」は、言葉と旋律が緊密に結び付いた20世紀ポップ・バラードの精華である。歌入りとインストの双方で語り継がれてきた歩みが、その普遍性を裏づける。初演から時を経ても色あせず、静かな高揚を湛えた名曲として、今後も多様な解釈で生き続けるだろう。