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Between The Devil And The Deep Blue Sea

  • 作曲: ARLEN HAROLD
#スタンダードジャズ
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Between The Devil And The Deep Blue Sea - 楽譜サンプル

Between The Devil And The Deep Blue Sea|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Between The Devil And The Deep Blue Sea は、ハロルド・アーレン(作曲)とテッド・ケーラー(作詞)による1931年の楽曲で、現在はジャズ・スタンダードとして広く親しまれている。タイトルは「進退きわまる」状況を表す英語の慣用句に由来し、恋愛の機微をウィットたっぷりに描く。初演の具体的な舞台や正確な初出媒体は情報不明だが、当時アーレンとケーラーはニューヨークのレビュー文化、とりわけクラブや劇場のショウに多数の楽曲を提供しており、本曲もその潮流の中で浸透したと考えられる。

音楽的特徴と演奏スタイル

明快なスウィング感と耳に残る主題が魅力で、ボーカル曲としてもインストゥルメンタルでも映える。メロディは跳躍とスケール運動が交錯し、ブルース由来の語法とテンションを活かしたハーモニックな色彩がアレンジの自由度を高める。テンポはミディアムからアップテンポまで幅広く、ウォーキング・ベースとシンコペーションを強調したオーソドックスなスウィング、よりモダンなアドリブ重視の解釈、ラテン寄りのビートへの換骨奪胎など、多様な手法が可能だ。ヴォーカルでは語り口の妙や軽妙なフレージングが生き、スキャットやトレードも効果的に用いられる。

歴史的背景

大恐慌期のアメリカに生まれた本作は、都会的なユーモアとほろ苦い感情表現を両立させるアーレン/ケーラーのコンビを代表する一曲。出版年は1931年。レビュー文化とダンス・バンドの隆盛に後押しされ、スウィング時代のレパートリーとして急速に普及した。ジャズ・クラブやラジオ放送を通じて広まり、のちのアメリカン・ソングブックにおいても重要曲の一つとして定着していく。初演会場や初演者の詳細は情報不明。

有名な演奏・録音

エラ・フィッツジェラルドは『Harold Arlen Song Book』(1961)で洗練されたヴァージョンを残し、楽曲の歌詞とメロディの妙味を再確認させた。さらにロック畑からはジョージ・ハリスンが『Brainwashed』(2002)で洒脱なカバーを披露し、時代とジャンルを越える普遍性を示した。これ以外にも多くのジャズ歌手・器楽奏者が録音を残しているが、映画・テレビなどでの具体的な使用例は情報不明。

現代における評価と影響

本曲はジャズとポピュラーの境界を軽やかにまたぐ「歌える」スタンダードとして、ライブやレコーディングで継続的に取り上げられている。メロディの覚えやすさと和声進行の発展性は、演奏者に多彩な解釈の余地を与え、教育現場の教材としても扱われることがある。アレンジ次第でクラシックなスウィングから現代的なサウンドまで対応できる柔軟性が、長寿命なレパートリーとしての評価を支えている。

まとめ

Between The Devil And The Deep Blue Sea は、1931年の誕生以来、機知に富むタイトルとスウィングの快楽性を兼ね備えた名曲として歌手・演奏家双方に愛され続けている。初演の詳細など一部に情報不明な点はあるが、豊富なカバーと更新される解釈が、その普遍的な魅力を今なお鮮やかに伝えている。