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Blowin' The Blues Away
- 作曲: SILVER HORACE

Blowin' The Blues Away - 楽譜サンプル
Blowin' The Blues Away|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Blowin' The Blues Away は、作曲者SILVER HORACE(ホレス・シルヴァー)によるインストゥルメンタル楽曲。1959年発表のブルーノートからの同名アルバムの表題曲として知られ、作曲者のクインテットによって初出録音が残されています。歌詞は存在せず、作詞者も情報不明。タイトルが示すとおりブルースの語感を帯びつつも、モダン・ジャズの洗練を備えたハード・バップ期を代表するナンバーのひとつとして位置づけられます。
音楽的特徴と演奏スタイル
本曲は、キャッチーなテーマと明快なリフ構成、ソウルフルなフィーリングを核に据えたハード・バップの語法が際立ちます。タイトなアンサンブルで提示されるヘッドから各奏者のソロへと展開し、再びヘッドで締める典型的なジャズのフォームを踏襲。スウィングするビートの推進力、ゴスペル由来のフレージング、ピアノの切れ味あるコンピングが立体的なグルーヴを生み、聴き手に強い印象を残します。メロディは覚えやすく、即興の発火点として機能するよう計算された書法が感じられます。
歴史的背景
1950年代後半は、ニューヨークのジャズ・シーンでハード・バップが成熟した時期。Blowin' The Blues Away は、同潮流の中心にいた作曲家兼ピアニストによる代表的成果の一つで、録音・制作の面でも当時のブルーノート作品らしいクリアな音像とコンパクトな楽曲設計が示されています。キャッチーでブルージーながらモダンな和声感を併せ持つ作風は、ポップ性とジャズの即興性を高次で両立させる当時の美学をよく体現しています。
有名な演奏・録音
最初期のスタジオ録音は、同名アルバムに収められた作曲者のクインテットによるトラックで、今なお基準的なリファレンスとして聴かれます。その後も再発やデジタル配信によりアクセスしやすく、ジャズ入門者から熟練リスナーまで幅広く参照される存在です。作曲者自身のバンドによる演奏が特に知られ、アンサンブルの精度とソロの充実が楽曲の魅力を鮮明に伝えています。
現代における評価と影響
本曲は、ハード・バップのコア要素—わかりやすいテーマ、強靭なグルーヴ、即興を活性化するリフ—を兼ね備えた楽曲として長年評価されています。アレンジやアンサンブルの設計が明快で、演奏者にとってはフォーム理解とダイナミクス構築の好題材。リスナーにとっても、モダン・ジャズの魅力を短時間で凝縮して味わえる曲として支持が続いており、現在も再発やストリーミングを通じて定番的に聴かれています。
まとめ
Blowin' The Blues Away は、ブルース感覚とモダンな書法が結びついたハード・バップの精華。初出録音を軸に聴けば、テーマ提示からソロ、エンディングまでの構築美とグルーヴの説得力を明確に体感できます。歌詞は情報不明(インスト)ながら、メロディとリズムだけで強い物語性を生み出す一曲です。