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Smoke Gets In Your Eyes

  • 作曲: KERN JEROME
#スタンダードジャズ
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Smoke Gets In Your Eyes - 楽譜サンプル

Smoke Gets In Your Eyes|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Smoke Gets In Your Eyes」はJerome Kern作曲、Otto Harbach作詞による楽曲。1933年ブロードウェイ・ミュージカル『Roberta』で初披露され、その後ポピュラー/ジャズ双方の領域で広く親しまれるスタンダードへと定着した。英語詞のバラードで、甘く憂いを帯びた旋律と切ない失恋の情感をたたえ、歌ものとしても器楽曲としても定番のレパートリーとなっている。

音楽的特徴と演奏スタイル

滑らかな旋律線と豊かな和声進行が核。半音階的な動きや柔らかな転調感が、タイトルどおり“煙”のように漂うニュアンスを生む。多くはスローバラードのテンポで、ルバート気味のイントロから歌い出しへつなぐ解釈が定番。32小節形式(AABA)として扱われることが多く、ボーカルではロングトーンとレガート、ジャズ演奏ではサブスティテュート・コードやテンションを活かした抒情的ソロが映える。

歴史的背景

本曲は『Roberta』のために1933年に書かれ、翌1935年の映画版『Roberta』でも取り上げられて認知を拡大した。大恐慌後のアメリカで、舞台・映画由来のポピュラー曲がダンスバンドやラジオを通して広まった時期と重なり、やがてスウィングからモダン・ジャズ期にかけて、スタンダードとしての地位を確立。戦後もジャズ歌手・器楽奏者の重要レパートリーとして演奏され続けている。

有名な演奏・録音

映画『Roberta』(1935年)ではIrene Dunneが歌唱し、楽曲の人気を後押し。なかでも1958年The Plattersのバージョンは、アレンジを刷新したポップ・バラードとして全米チャート1位を獲得し、世代を超える代表的カバーとなった。以降、ビッグバンド、コンボ、ソロ・ピアノなど多様な編成で録音が重ねられ、ボーカル/インスト双方で決定的名曲として定着している。

現代における評価と影響

本曲はGreat American Songbookを代表する一曲として、音大やジャズ教育現場でもしばしば題材となる。情感豊かなメロディと解釈の幅広さは、歌手の表現力や即興のハーモニー運用を学ぶ格好の素材である。コンサートやメディアでも定期的に取り上げられ、年代やジャンルを超えて聴き継がれる“普遍的バラード”としての評価を維持し続けている。

まとめ

舞台発の名旋律が映画と録音文化を経てスタンダード化し、さらにThe Plattersの大ヒットで大衆的な認知を獲得した点に、この曲の稀有な軌跡がある。繊細な和声と息の長いメロディは、ボーカルにもインストにも最適で、今日も多様な解釈を生み続けている。