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Stardust

  • 作曲: CARMICHAEL HOAGY
#スタンダードジャズ#ジプシージャズ
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Stardust - 楽譜サンプル

Stardust|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Stardust(邦題: スターダスト)は、CARMICHAEL HOAGY(ホーギー・カーマイケル)作曲のジャズ・スタンダード。1927年にまず器楽曲として書かれ、1929年にMITCHELL PARISH(ミッチェル・パリッシュ)が歌詞を付けて広く知られるようになった。英語の歌で、恋の記憶や郷愁を夢幻的に描く抒情が特徴。現在ではバラードの定番として、ボーカル/インスト双方で頻繁に演奏される。初演や原調などの詳細は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

独立したヴァース(前歌)と32小節のコーラスから成る構造が代表的で、広い音域を横断する跳躍と滑らかな旋律線が魅力。セカンダリー・ドミナントや循環進行を多用した豊かな和声により、リハーモナイズの余地が大きい。テンポはしっとりしたバラードが定番だが、ミディアム・スウィングで軽やかに解釈されることも多い。ボーカルは語り口のニュアンスと長いフレーズの息遣いが鍵、器楽ではメロディの伸びと間合い、サブスティテュート・コードのセンスが聴きどころとなる。

歴史的背景

1927年の作曲当初はインストゥルメンタルとして演奏され、後にParishの詞が付いてポピュラー音楽の世界で急速に広まった。1930年前後のダンス・バンド時代に多くの楽団が取り上げ、ラジオ放送やレコードを通じて大衆的人気を獲得。旋律美とハーモニーの豊かさが、スウィング期から戦後のジャズ・ボーカル黄金期まで継続的に愛奏される基盤となり、「アメリカン・ソングブック」を象徴するレパートリーの一つへと定着した。

有名な演奏・録音

1930年頃のIsham Jones楽団のヒットで一気に知名度が拡大。続いてLouis Armstrong、Bing Crosbyらの録音が普及を後押しした。戦後はNat King Cole、Frank Sinatra、Ella Fitzgeraldがそれぞれの歌唱美で決定版とされる名演を残し、ビッグバンドではArtie ShawやTommy Dorsey、Glenn Millerのアレンジも人気を博した。さらに1978年にはWillie Nelsonがアルバム『Stardust』で取り上げ、ジャンルを超えたスタンダードとしての生命力を示している。

現代における評価と影響

Stardustは、20世紀ポピュラー音楽でも屈指の名旋律として、教育現場からプロの現場まで定番曲に位置づけられている。ボーカリストにとってはレガートと語りのバランス、器楽奏者にとっては歌心と和声理解を試す格好の素材であり、世代やスタイルを超えた解釈が生まれ続けている。ストリーミング時代でも新録音が途切れず、コンサートやセッションの重要レパートリーとして現在も評価は高い。

まとめ

カーマイケルの豊潤な旋律とパリッシュの叙情的な詞が結びつき、Stardustは時代を超える歌と演奏の器となった。バラードの王道でありながら自由な再解釈を受け入れる懐の深さが、スタンダードとしての生命力を支える。初学者の入門曲としても、表現力を磨く中級・上級者の教材としても最適な一曲である。