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アーティスト情報なし

Entertainer, The

  • 作曲: JOPLIN SCOTT
#スタンダードジャズ
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Entertainer, The - 楽譜サンプル

Entertainer, The|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Scott Joplin作曲のThe Entertainerは、1902年に出版されたピアノ独奏用のラグタイム。原題は“The Entertainer: A Rag Time Two Step”。軽快で覚えやすい主題を複数のセクションで展開する構成で、ジョプリンの代表作の一つとして広く知られる。初版は楽譜として流通し、舞踏や家庭音楽の場で親しまれた。

音楽的特徴と演奏スタイル

典型的なラグタイムの語法を備え、左手は規則的なベース音と和音の交替、右手はシンコペーションを強調した旋律を奏でる。16小節単位の多部形式(AABBACCDD系)で、主題ごとにキャラクターが明確に差別化される。反復とバリエーションのバランスが巧みで、聴感上のコントラストを生む。過度に速くせず、躍動感と品位を保つテンポが推奨される。

歴史的背景

20世紀初頭の米国で隆盛したラグタイムは、黒人音楽と舞曲文化の結節点として発展した。ジョプリンは“King of Ragtime Writers”と称され、芸術的な書法でジャンルを高めた作曲家である。本作はその全盛期に書かれ、サロンからダンスホールまで幅広い場で演奏され、当時の都市文化を象徴する楽曲となった。

有名な演奏・録音

1970年代、ジョシュア・リフキンの録音がラグタイム復興を牽引し、続いて映画『スティング』(1973)でマーヴィン・ハムリッシュ編曲版が使用されて世界的に再注目を浴びた。同編曲はシングルとしても広まり、多数のピアニストやアンサンブルによる録音・編曲が現在まで続いている。教育用の易しい版から原典重視の校訂版まで、出版も豊富である。

現代における評価と影響

今日「The Entertainer」は、ラグタイムを代表するスタンダードとして教育現場やコンサート、メディアBGMで頻繁に採り上げられる。初学者のレパートリーにも適しつつ、細かなアクセントやタッチの制御など高度な表現が問われるため、上級者にも弾きごたえがある名曲として評価が定着している。

まとめ

軽妙なシンコペーションと華やかな多部形式が魅力の本作は、ラグタイムの美質を端的に示す一曲である。歴史的背景と録音史を踏まえて聴くことで、ジョプリンが目指した“踊れる芸術音楽”としての魅力を多面的に味わえるだろう。