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I'm Always Chasing Rainbows

  • 作曲: P D
#スタンダードジャズ
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I'm Always Chasing Rainbows - 楽譜サンプル

I'm Always Chasing Rainbows|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「I'm Always Chasing Rainbows」は、クラシックの旋律を源泉とするアメリカン・ポピュラーの名曲。作曲者は入力情報ではP D。一般的なクレジットとしてはハリー・キャロル作曲、ジョセフ・マッカーシー作詞で、ショパンの「幻想即興曲」を素材に1917年ごろに成立し、1918年のブロードウェイ・レヴュー「Oh, Look!」で紹介されたと広く知られる。叙情的な歌詞を伴い、多数の歌手・バンドに取り上げられてきたことから、今日ではジャズ・スタンダードとして位置づけられている。

音楽的特徴と演奏スタイル

最大の特徴はショパン「幻想即興曲」の抒情的部分を借用した旋律で、ため息のような下降句と長短の対比がもたらす郷愁にある。バラードテンポでのピアノ分散和音やストリングス・パッドとの相性がよく、歌手は繊細なルバートで語りかけるようにフレージングするのが定石。ジャズではサブドミナント・マイナーやセカンダリー・ドミナントを織り込むリハーモナイズが映え、イントロで原曲ショパンの響きを示唆する編曲も多い。

歴史的背景

第一次世界大戦末期から戦間期にかけ、現実の不安から束の間の夢や希望へ逃避する感情が大衆音楽に強く投影された時代。本曲の“虹を追いかける”モチーフは、その心情を象徴的に言語化し広く共感を呼んだ。ブロードウェイのレヴュー文化に端を発し、出版譜とレコード、のちのラジオ放送によって全米へ流通。クラシックの旋律を洗練された歌物に移植した点も当時として新鮮だった。

有名な演奏・録音

Judy Garlandが1941年の映画「Ziegfeld Girl」で披露し、スクリーンを通じて人気が拡大。Artie Shaw楽団(Vo: Helen Forrest)によるスウィング・バージョン、Harry Jamesのインストゥルメンタル、Perry Comoによる1945年前後のヒットは代表格として語り継がれる。のちにTony Bennettほか多くの歌手が録音し、ヴォーカル、ビッグバンド、室内編成まで多彩な形でスタンダード化した。

現代における評価と影響

クラシック由来の旋律美とポピュラーの物語性が融合した好例として、音楽教育やアレンジ課題にも取り上げられる一方、映画・ドラマでは郷愁や淡い希望を表現する場面に適合する楽曲として用いられることが多い。セッション現場でもバラードの定番曲として共有度が高く、世代やジャンルを越えて演奏され続ける生命力を保っている。

まとめ

「I'm Always Chasing Rainbows」は、ショパンの旋律をポピュラー文脈に架橋した稀有なスタンダードである。ブロードウェイから銀幕、レコードへと広がった名演の蓄積が普遍性を裏打ちし、今日もなお歌手と聴き手の心を結びつける。出自の特異性と歌心の両立が、この曲の不朽の魅力だ。