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I'm Yours
- 作曲: GREEN JOHN

I'm Yours - 楽譜サンプル
I'm Yours|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『I'm Yours』は、作曲家ジョン・グリーン(表記:GREEN JOHN)による楽曲。作詞はE.Y.ハーバーグとビリー・ローズ、発表年は1930とされる。英語詞を伴うポピュラー/ジャズ・スタンダードに位置づけられ、ヴォーカル曲として広く扱われる。出版や初演の詳細、初出媒体の特定は情報不明だが、ティン・パン・アレー期の流行歌の系譜に属する。楽曲名と作曲者の組み合わせは同名異曲と混同されやすく、識別には作詞者と年代の確認が有効である。
音楽的特徴と演奏スタイル
ロマンティックで滑らかな旋律線と、豊かな和声進行が特徴。ヴォーカルは語り口を生かせる中低域に収まり、感情のニュアンスを乗せやすい。テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅を持ち、イントロはルバートで始め、コーラス以降を4ビートに乗せる解釈が定番。和声面ではII–V進行や転調感が歌詞の親密さを強調する。実演では、ピアノと歌のデュオ、ギター・トリオ、ビッグバンド・バラードなど編成を問わず適応し、キー選択は歌い手に合わせて可変となる。
歴史的背景
1930年前後はティン・パン・アレー最盛期で、洗練されたメロディとダンス可能なリズムを備えた曲が多く書かれた。ジョン・グリーンは同時代に『Body and Soul』なども手がけ、メロディ重視の作風で知られる。本曲もその路線に属し、サロンからダンスホール、放送メディアまで幅広く流通した可能性が高いが、初演者や初出の詳細は情報不明。のちにハリウッドで活躍する作曲家としての端緒を示す一編として位置付けられる。
有名な演奏・録音
1930年代のダンス・バンドやポピュラー歌手による録音が複数残されているが、特定の代表盤・チャート実績の詳細は情報不明。後年はジャズ・ヴォーカリストや小編成コンボのレパートリーとして断続的に取り上げられ、スウィングおよびバラード解釈の双方に好相性である。映画やテレビでの顕著な使用例は情報不明。
現代における評価と影響
今日では、ゴールデン・エイジの恋愛バラードを学ぶ教材的価値を持つ楽曲として評価される。歌詞は献身と親密さを主題とし、抑制された語法で情感を伝える点がヴォーカル解釈の要。セッション現場での頻出度は中程度だが、オールド・スタイルのプログラムやレストラン・ラウンジ、リサイタルでの採用に向く。移調の柔軟性とアレンジの自由度が高く、編成や状況に応じて表情を変えられる点が現代的な強みである。
まとめ
『I'm Yours』は、ジョン・グリーンの美質である優雅な旋律と洗練された和声が結晶したスタンダード。詳細資料が限られる部分はあるものの、ヴォーカル曲としての完成度が高く、バラードからスウィングまで対応する汎用性が魅力だ。歴史的文脈を踏まえたうえで、自身のキーとテンポを見定め、歌詞の親密さを音色と間で描くことが、現代的な再解釈の鍵となる。