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In Crowd, The

  • 作曲: PAGE BILLY, PAGE WILLIAM E II
#スタンダードジャズ
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In Crowd, The - 楽譜サンプル

In Crowd, The|歌詞の意味と歴史

基本情報

「In Crowd, The」は、Billy Page(クレジット:PAGE BILLY, PAGE WILLIAM E II)による楽曲。ボーカル曲として知られ、最初期の代表的な録音はドビー・グレイによるシングルで、1960年代半ばに広くヒットした。軽快なビートと耳に残るコーラスで、当時のポップ/ソウル文脈に位置づけられる。後年にはジャズ・ピアニストのラムゼイ・ルイス・トリオがライブでインストゥルメンタル化し、これも大きな反響を呼んだため、ボーカル曲でありながらインスト名演の定番としても語られる稀有な存在である。

歌詞のテーマと意味

タイトルの“in crowd”は「流行の最先端にいる仲間たち」を指す。歌詞は、彼らの一員である誇らしさや、どこへ行っても注目を集める高揚感を描きつつ、集団に属すること自体が“クール”の証明になっていく過程を軽やかに表現している。過度な説教臭さを避け、リズミカルな反復とコール&レスポンス調のフレーズで聴き手を巻き込む作りは、クラブやラジオでの即時性に優れる。一方で、ステータスや帰属意識への憧れが加速する60年代都市文化の空気を映し出す側面もあり、華やかさの裏にある社会的な同調圧力や流行の移ろいへの含みを感じ取ることもできる。

歴史的背景

60年代中盤は若者文化とポップ産業が急伸した時代で、ディスコティークやダンスフロアの拡大、メディアを介したトレンドの高速循環が進んだ。「In Crowd, The」は、その只中で“仲間に入ること”の魅力を明快なポップ・ソングとして提示し、広範なリスナーに受け入れられた。原曲がポップ/ソウルとして成功したのに加え、ジャズ・トリオ編成での大胆な再解釈が同時代に並走した点は、ジャンル横断的な消費が進んだ60年代の象徴的事例といえる。

有名な演奏・映画での使用

代表的な録音はドビー・グレイのシングル版。続いて、ラムゼイ・ルイス・トリオがワシントンD.C.のBohemian Cavernsで収録したライブ・バージョンを発表し、ピアノのグルーヴと観客の手拍子が一体化した高揚感で名演として定着した。さらに、ブライアン・フェリーもカバーを残し、グラマラスな解釈で新たな聴衆に届かせた。映画での使用は情報不明。映像文脈での具体的な採用例については公的資料が確認できず、詳細は情報不明である。

現代における評価と影響

本曲は、ポップ・ソングとしての即効性と、ジャズ的アプローチにも耐える堅固なリフ/進行を併せ持つことで、今日までプレイリストやステージで息長く引用されている。旧譜再評価の流れやソウル/R&B回帰の文脈でも取り上げられ、DJセットやライヴでのフロア・ビルダーとして重宝される存在だ。特にインスト版は、ジャンルを問わずセットの「流れ」を作るピースとして機能し、楽曲自体の普遍性を裏付けている。

まとめ

「In Crowd, The」は、キャッチーなメロディと社会的帰属への憧れを描く歌詞、そしてジャズ的再解釈を呼び込む器の大きさを兼備した稀有なポップ名曲である。ボーカルとインスト、双方の名演を聴き比べることで、楽曲の核となるグルーヴとフックの強度、時代を超える普遍性がより鮮明に浮かび上がる。