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Make Believe

  • 作曲: KERN JEROME
#スタンダードジャズ#映画音楽
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Make Believe - 楽譜サンプル

Make Believe|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Make Believeは、作曲ジェローム・カーン(KERN JEROME)、作詞オスカー・ハマースタイン2世による歌曲。初出は1927年初演のミュージカル『ショウ・ボート(Show Boat)』で、劇中の主要デュエットとして知られます。作品はブロードウェイの歴史的転換点とされ、物語と音楽の統合を推し進めました。本曲もその理念を体現し、単なる人気歌ではなく人物造形とドラマ展開に密接に結び付くナンバーとして位置付けられています。ジャンル的にはショー・チューンであり、後年はスタンダードとしてジャズやポピュラーの分野でも継続的に歌われています。

音楽的特徴と演奏スタイル

穏やかなテンポのロマンティックなバラードで、流麗な旋律線と品のある和声進行が魅力。メロディはフレーズの起伏が自然で、言葉を乗せやすく、デュエットでの掛け合いが映える設計です。歌唱ではレガートを基本に、言葉のニュアンスを丁寧に扱う表現が要。ジャズ・シンガーや器楽奏者は、ルバートやテンポ・ルバートを取り入れつつも、フレーズ末尾での間合いとコードの色合いを活かし、甘美さと抒情を際立たせます。過度な装飾よりも、旋律の語り口を尊重した抑制の効いたアプローチが好まれます。

歴史的背景

『ショウ・ボート』は当時としては異例の重い社会的テーマとリアルな人物造形を導入し、後のブロードウェイ作品に大きな影響を与えました。Make Believeは物語の早い段階で登場し、主人公たちの心情を“想像(Make Believe)”というモチーフに託して示す役割を担います。夢見がちなロマンスの甘さと、現実との緊張関係が曲全体の情感を形成し、以降のドラマ展開に伏線を与える点が重要です。作曲家カーンと作詞家ハマースタイン2世の協働が、舞台音楽の新たな地平を開いた象徴的事例として高く評価されています。

有名な演奏・録音

本曲は『ショウ・ボート』各種キャスト・アルバムや、ブロードウェイ再演・ロンドン公演の録音にたびたび収録されています。映画版『Show Boat』でも主要ナンバーとして扱われ、1936年版および1951年版のサウンドトラックで広く親しまれました。ジャズ/ポピュラー分野でも多くの歌手や器楽奏者がリサイタルやアルバムで取り上げ、スタンダードとして定着。個別録音の初出年やチャート成績など詳細は情報不明ですが、長期にわたり録音実績が蓄積されていることは確かです。

現代における評価と影響

Make Believeは、アメリカン・ソングブックの重要曲として歌い継がれ、音大や演劇学校のレパートリー、オーディション曲としても選ばれる定番です。デュエットで人物関係を描写する手法は、後続のミュージカル作家に実践的なモデルを提供。ジャズの現場では、調性やテンポを柔軟に設定してバラード解釈を深める教材的価値も認められます。舞台・映画・スタンダードという三つの文脈を横断して評価され続ける点が、本曲の普遍性と強度を証明しています。

まとめ

ジェローム・カーン作曲のMake Believeは、『ショウ・ボート』の核を成すロマンティックなデュエットであり、物語と音楽の統合を示す代表曲です。抒情的な旋律と洗練された和声、言葉の意味を活かす歌唱の妙が相まって、今日まで幅広い場で演奏されてきました。映画化や多様な録音を通じてスタンダードとして定着し、学習・実演の双方で価値を保ち続ける名曲と言えるでしょう。