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My Conception

  • 作曲: CLARK SONNY
#スタンダードジャズ
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My Conception - 楽譜サンプル

My Conception|楽曲の特徴と歴史

基本情報

My Conceptionは、ハードバップ期を代表するピアニスト兼作曲家ソニー・クラーク(Sonny Clark/表記: CLARK SONNY)による器楽曲。歌詞は存在せず、ピアノ主導の小編成ジャズで演奏されることが多い。クラークの作曲語法を典型的に示す一曲として知られ、同名アルバム『My Conception』に収録されて広く認知された。録音や初出年の詳細は資料により差があり、一般公開の初出は日本でのリリースが契機となったことが知られているが、厳密な作曲年は情報不明である。

音楽的特徴と演奏スタイル

本曲はハードバップの文脈に根差した、シンコペーション豊かな主題と明快なスウィング感が際立つ。メロディはクロマチックなアプローチや、ジャズ語彙の核であるII-V系の推移を要所に配し、即興に自然に接続する設計がなされている。テンポはミディアムからアップ寄りで演奏される例が多く、ピアノのコンピングとウォーキング・ベース、ライド・シンバルの4ビートが推進力を生む。ソロはモチーフ開発とライン構築が両立しやすく、学生や実務家のレパートリーとして扱いやすい構造を持つ点も魅力である。

歴史的背景

1950年代後半から60年代初頭のブルーノート期、クラークはリーダー作とサイド参加で精力的に録音を重ねた。My Conceptionはその創作期に生まれたレパートリーで、アメリカ本国で未発表だった音源が後年日本でアルバムとしてまとめて紹介され、曲の知名度を押し上げた経緯がある。彼の端正で歌心ある作曲と、鋭いビート感を宿すピアノ・タッチは、同時代のハードバップ美学を体現し、本曲もその文脈で評価されている。

有名な演奏・録音

基準となるのはソニー・クラーク自身の録音で、ピアノの語り口とアンサンブルの密度が作品の性格を明確に伝える。以降、同系統のハードバップ/ポストバップ志向のプレイヤーがステージやレコーディングで取り上げる例が見られ、ピアノ・トリオからクインテット編成まで幅広く対応するレパートリーとして親しまれてきた。特定の映画使用や大衆的ヒットは確認されておらず、その評価は主にジャズ・シーン内部で培われている。

現代における評価と影響

My Conceptionは、和声運動の明快さとメロディの推進力を両立させるクラーク流の作曲術を学ぶ手掛かりとして、教育現場でも扱われることがある。アドリブ研究の素材として適度な難度を備え、ライン構築やリズム配置の練習曲としても有効。配信時代に入り、未発表音源や再発を通じてアクセスが容易になったことで、若い世代の奏者にも再発見が進んでいる。結果として、派手な知名度に依存しない“通好みの名曲”として地位を保っている。

まとめ

歌詞を持たない器楽曲としてのMy Conceptionは、ハードバップの構造美と歌心を凝縮したソニー・クラークらしい一曲である。録音史の経緯から一般流通まで時間を要したが、今日では演奏実践と研究の双方で価値が確認されている。端正なフォルムと即興の自由度を併せ持つ本曲は、今後もジャズ教育と現場で息長く受け継がれるだろう。