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Second Time Around, The

  • 作曲: CAHN SAMMY,VAN HEUSEN JIMMY
#スタンダードジャズ
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Second Time Around, The - 楽譜サンプル

Second Time Around, The|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『The Second Time Around』は、作詞サミー・カーン、作曲ジミー・ヴァン・ヒューゼンによる1960年の楽曲。映画『High Time』(1960)でビング・クロスビーが歌ったことで広く知られ、翌年の第33回アカデミー賞で主題歌賞にノミネートされた。甘やかなロマンティシズムと成熟した恋愛観を描く歌詞、端正で流麗なメロディが評価され、のちにジャズ/トラディショナル・ポップのスタンダードへと定着。現在もコンサートやレコーディングで継続的に取り上げられている。曲名表記は一般に“The Second Time Around”が流通するが、本稿では与件に従い「Second Time Around, The」を用いる。

音楽的特徴と演奏スタイル

落ち着いたテンポで歌われることが多いバラードで、息の長い旋律線と、語り口を生かす間合いが魅力。冒頭で柔らかく導入し、中盤で感情の頂点を作る構成が効果的とされる。伴奏はピアノ・ベース・ドラムの小編成から、ストリングスを加えたオーケストラ編成、ビッグバンドまで幅広く適応。ボーカリストはレガート主体の滑らかなフレージングに加え、語尾のコントロールや微細なダイナミクスで“二度目の恋の優しさ”を描写するのが通例で、イントロにルバートを用いた自由な語り出しもよく採用される。ハーモニーは古典的で気品があり、終止感を大切にした編曲が映える一方、現代ジャズの文脈ではテンションを織り交ぜた再解釈も行われている。

歴史的背景

1950年代後半から1960年代初頭は、映画とポピュラー音楽の結びつきが強く、スクリーン発の楽曲が広く普及した時代。カーン&ヴァン・ヒューゼンは『All the Way』『High Hopes』などで名実ともにハリウッドを代表するソングライティング・チームとして確立しており、本作もその成熟した文脈の中で誕生した。『High Time』での起用により大衆の耳に届き、ラジオやレコード市場を通じてスタンダード化が進行。ロックンロール台頭期にあっても、大人の鑑賞に堪える洗練されたバラードとして長く生き残った。

有名な演奏・録音

初期の代表的な歌唱は、映画『High Time』でのビング・クロスビーによるもの。さらにフランク・シナトラの録音が広く知られ、同曲の決定的解釈としてしばしば参照される。以降、多数のジャズ/トラディショナル・ポップ系アーティストがレパートリーに加え、コンサートやスタンダード集の中核曲として扱われてきた。個別の演奏年・収録アルバムの詳細は情報不明だが、世代や編成を超えて録音が重ねられている点が本曲の普遍性を物語る。

現代における評価と影響

歌詞は“二度目だからこそ、より深く、より優しく愛せる”という成熟した視点を持ち、人生経験を重ねた聴衆や演者に響くテーマ性を備える。そのため、スタンダード曲集やリサイタルのプログラムで継続的に取り上げられるほか、親密な雰囲気を求めるイベントでも選ばれやすい。配信時代においても名唱の再発やキュレーションによって新規リスナーが流入し、検索・ストリーミング双方で安定した関心を保っている。

まとめ

『The Second Time Around』は、映画初出という確かな出自と、カーン&ヴァン・ヒューゼンの職人芸が結晶したメロディ・歌詞の完成度によってスタンダードとして定着した。ビング・クロスビーやフランク・シナトラの名唱に支えられ、今日まで幅広い編成・解釈で生き続けている。バラードとしての表現力、成熟した恋愛観という二つの軸を備えた本作は、今後も世代を超えて演奏されるだろう。