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So Long, Dearie

  • 作曲: HERMAN JERRY
#スタンダードジャズ#ジプシージャズ
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So Long, Dearie - 楽譜サンプル

So Long, Dearie|歌詞の意味と歴史

基本情報

「So Long, Dearie」は、ジェリー・ハーマン(Jerry Herman/作曲・作詞)によるミュージカル『Hello, Dolly!』(1964年ブロードウェイ初演)のために書かれたショー・チューン。劇中では主人公ドリー・リーヴァイが歌うナンバーとして配置され、軽快なテンポと痛快な語り口で観客の心をつかむ。初演のドリーはキャロル・チャニングが務め、以後のリバイバルでも本曲は役柄のキャラクター性を強く印象づける場面として定着している。

歌詞のテーマと意味

歌詞の中心は、ドリーが相手に別れを告げつつも自分の価値と主体性を力強く宣言する姿勢にある。皮肉とウィットに富んだ言い回し、すばやい言葉運び、聴衆へ語りかけるような演技的フレージングが特徴で、喜劇的効果とカタルシスを同時に生み出す。単なる“別れの歌”ではなく、自己肯定と次の一歩への高揚を促す前向きなメッセージが核であり、舞台上での動きや表情と結びつくことで、ドラマの転換点を鮮烈に提示する。

歴史的背景

1960年代のブロードウェイ黄金期に生まれた『Hello, Dolly!』は、古典的ショー・チューンの語法を現代感覚で磨き上げた作品群で知られる。ハーマンはキャッチーな旋律線と明快な和声進行、そして登場人物の個性を音楽的に可視化する構成力に長け、本曲もその典型例である。ショー全体が多くの賞を受け高い評価を得る中で、「So Long, Dearie」は物語の推進力とキャラクター造形の両面を担う重要曲として位置づけられてきた。

有名な演奏・映画での使用

舞台ではキャロル・チャニングをはじめ、後年のリバイバルでドリーを演じた多くのスターによって歌い継がれてきた。また、ポピュラー音楽界でもカバーが行われ、ジャズ/ポップ文脈で取り上げられる例がある。映画での具体的な使用状況やシーンの詳細は情報不明。録音面ではキャスト・アルバムを中心に複数の公式音源が流通しており、舞台版のエネルギーを追体験できる資料として重視されている。

現代における評価と影響

今日でもオーディションやコンサート、カバレッジで選ばれる定番のキャラクター・ソングであり、快活なテンポ、歯切れのよいリズム、ドラマ性の高い間合いが、歌い手の表現力を浮き彫りにする。物語性と娯楽性のバランス、会話的フレーズの運びは、後続のミュージカル・ナンバーにも影響を与え、ショー・チューンの手本として教育現場でも参照されることが多い。

まとめ

「So Long, Dearie」は、別れを宣言しながらも前向きさを失わないヒロイン像を描く、ジェリー・ハーマンの筆致が光る代表的ナンバー。耳に残るメロディと機知に富んだテキスト、舞台映えする構成により、初演当時から現在まで強い生命力を保ち続けている。作品全体の魅力を凝縮しつつ、歌い手のキャラクターを際立たせる実演向きの一曲だ。