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Sugar Blues

  • 作曲: FLETCHER LUCY,WILLIAMS CLARENCE
#スイング#スタンダードジャズ
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Sugar Blues - 楽譜サンプル

Sugar Blues|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Sugar Bluesは、1919年発表のジャズ・スタンダード。作曲はクラレンス・ウィリアムズ、歌詞はルーシー・フレッチャーによるとされ、ボーカル版の存在が確認されます。一方で、後年は器楽曲として特に親しまれ、トランペットのミュート奏法を象徴するレパートリーとして定着しました。フォームはブルースを基盤とし、シンプルなコード進行に乗せてメロディとアドリブが展開されます。原出版や初演者などの詳細は情報不明ですが、ダンス・バンド期からスウィング時代にかけて広く演奏されました。

音楽的特徴と演奏スタイル

最大の特徴は、トランペットのワウワウ(プランジャー・ミュート等を用いた)効果音と、喋るようなコール&レスポンス的フレージングです。メロディは装飾音やグロウル、ポルタメントを交え、リズムはスウィングのうねりを活かしながらシンコペーションで躍動感を生みます。ソロはブルース語法に基づく反復と変奏が核で、短いブレイクやフェイクで聴かせどころを作るのが定石。ボーカル版では歌詞が存在しますが、具体的なテーマは情報不明です。アンサンブルでは、リード・トランペットとサックス/トロンボーンが掛け合い、リズム隊は2ビート〜4ビートで推進力を担うのが一般的です。

歴史的背景

作曲者クラレンス・ウィリアムズは初期ジャズを牽引した作曲家・実業家として知られ、本曲もその流れの中で生まれました。曲の決定的普及には、1930年代初頭の録音群が大きく寄与し、特にトランペッターが用いたワウワウ効果は、ジャズにおけるミュート表現の魅力を広く伝える契機となりました。ダンスホール文化と放送・レコード産業の拡大が相まって、Sugar Bluesはスウィング時代のレパートリーへと浸透し、トラディショナル・スタイルの象徴的ナンバーとして定着します。

有名な演奏・録音

歴史的名演として特に知られるのは、1930年代にヒットしたトランペット主導の録音で、ワウワウ・ミュートの語り口を決定づけました。以後、トランペッターを中心にダンス・バンド、トラディショナル・ジャズのコンボまで、多数の楽団がレパートリーとして採用。テンポや編成は多様で、ミディアム・スウィングからより踊れるテンポまで幅広くアレンジされています。なお、個々の録音のレーベルやチャート成績などの詳細は情報不明です。

現代における評価と影響

Sugar Bluesは、ブルース・フォームとミュート・トランペットの魅力を学ぶ教材的レパートリーとして、現在も学校バンドやプロ・アンサンブルで取り上げられます。ワウワウ表現の象徴曲であるため、金管の音色変化、リップ・トリル、グロウルといった拡張技法の実践例として位置づけられることが多いです。また、楽曲タイトルとともに、後世の“ワウ”サウンド一般への連想を喚起する存在としても語られ、ジャズ表現の多彩さを示す歴史的指標となっています。

まとめ

1919年生まれのSugar Bluesは、ブルース語法とミュート・トランペットの語り口を結晶化させたジャズ・スタンダードです。歌詞版が存在しつつも、器楽曲としての生命力で世に広まり、1930年代のヒット録音を契機に定番化。今日では演奏学習・鑑賞双方の観点から価値が認められ、ジャズ史を学ぶ上でも外せない一曲として受け継がれています。