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Tempus Fugit

  • 作曲: POWELL BUD, POWELL EARL BUD
#スタンダードジャズ
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Tempus Fugit - 楽譜サンプル

Tempus Fugit|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Tempus Fugitは、バド・パウエル(Earl Bud Powell)作曲のジャズ・インストゥルメンタル。別表記に「Tempus Fugue-it」があり、表記揺れに注意が必要です。歌詞は存在せず、公式な初出年や出版情報は現時点で情報不明。ピアノ・トリオや小編成コンボで広く演奏されるレパートリーとして知られ、クレジットはPOWELL BUD, POWELL EARL BUDと記されることがあります。

音楽的特徴と演奏スタイル

最大の特徴はアップテンポで切れ味鋭いビバップ語法。疾走感のあるテーマはシンコペーションと急峻な跳躍を含み、右手のリニアなラインと左手のシェル・ボイシングというパウエル流の語法が映えます。テンポは極めて速く、クロマチックな経過音や連続するII-V進行が生む緊張感の中で、正確なタイムと明確なフレージングが要求されます。リズム・セクションはライド・シンバルの一定脈動とウォーキング・ベースで推進力を確保し、ソリストは拍裏のアクセントと解決音のコントロールでスウィング感を保つのが要点です。

歴史的背景

戦後ニューヨークで確立したビバップは、ハーモニーとリズムの複雑化を推し進め、ピアノ語法も刷新しました。パウエルはその中心人物で、コンピングを簡潔にしつつ右手に高度なラインを集中させるスタイルを確立。ラテン語の“Tempus fugit”(時は飛ぶ)を題名とし、ジャズ的言葉遊びの「Tempus Fugue-it」という表記も流通します。楽曲はこの時代のスピード感と都市的洗練を象徴し、モダン・ジャズの指標として位置づけられます。

有名な演奏・録音

代表格はバド・パウエル自身の録音で、その鋭敏なアタックと流麗なビバップ・ラインが作品の基準を示します(具体的な年やレーベルは情報不明)。以後、ピアノ・トリオやホーンを含むコンボなど、多様な編成で再演されてきました。個別ディスコグラフィや映画での使用実績については本稿執筆時点で情報不明ですが、ライブ現場や録音での採用例が多い難曲として知られています。

現代における評価と影響

Tempus Fugitは、高速テンポ下での精緻なビバップ語法を学ぶうえで格好の素材とされ、プロ・アマ問わず演奏家の腕試し曲として扱われます。テーマの明瞭なアクセント設計と、急速な和声進行に対応するライン構築力が問われるため、アンサンブル教育の現場でも取り上げられることがあります。録音・配信時には表記揺れが検索性に影響するため、両表記を併記する慣習も見られます。

まとめ

ビバップ期の精髄を凝縮したTempus Fugitは、スピード、タイム、ライン構築の三拍子が揃わないと真価を示せない難曲です。初出や細部の来歴は情報不明ながら、パウエルの創意を体現するレパートリーとして現在も演奏・研究が続き、モダン・ジャズの語彙における重要作として評価されています。