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West End Blues

  • 作曲: OLIVER JOE KING
#スタンダードジャズ#ジプシージャズ
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West End Blues - 楽譜サンプル

West End Blues|楽曲の特徴と歴史

基本情報

West End Bluesは、Joe “King” Oliver(表記:OLIVER JOE KING)作曲、1928年に発表されたジャズ曲。主に器楽で演奏される12小節ブルースで、ルイ・アームストロング&ヒズ・ホット・ファイブの録音で決定的評価を得た。現在ではジャズ・スタンダードとして定着している。タイトルの由来は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

最大の聴きどころは冒頭の無伴奏トランペット・カデンツァ。広い音域、強靭なアタック、自在なルバートが緊張感を生む。主部は中庸テンポの12小節ブルースを骨格に、テーマ提示―各楽器のソロ―再現という構成が一般的。ブルーノート、豊かなビブラート、裏拍のプッシュなどニューオーリンズ語法に、先鋭的なタイム感とクリアな音色設計が融合し、ソロ重視の近代的ジャズへ道を開いた。アール・ハインズの“トランペット的”ピアノ語法も象徴的である。

歴史的背景

作曲者はニューオーリンズ出身の名コルネット奏者オリヴァー。1928年、録音拠点が拡大する中でアームストロング盤が登場し、ダンス主体の娯楽から鑑賞的な即興芸術へと向かうジャズの潮流を強く印象づけた。出版や初演の詳細、題名の地理的由来などは情報不明だが、都市部の録音文化とプロフェッショナルな音楽産業の発展に支えられた作品であることは確かだ。

有名な演奏・録音

古典として最も参照されるのが、ルイ・アームストロング&ヒズ・ホット・ファイブの1928年録音。アームストロングの開幕カデンツァと、アール・ハインズの硬質で推進力あるピアノソロが白眉である。以後、アームストロング自身の再演を含め、多数のジャズ奏者が取り上げ、コンボからビッグバンドまでさまざまな形で録音が残る。近年もトップ・トランペッターから学生バンドまで広く演奏されている。

現代における評価と影響

本曲は教育現場やジャム・セッションの定番で、フレージング、音色、スイング感、コーラス構成を学ぶ基準曲とされる。批評面でも20世紀ジャズを画した演奏例に数えられ、録音芸術としての完成度と即興の構築性が継続的に評価されている。トランペット奏者のみならず、ピアニストやアンサンブル全体のインタラクション研究にも不可欠な教材である。

まとめ

West End Bluesは、オリヴァーの12小節ブルースにアームストロングの解釈が歴史的意味を与えた名曲。簡潔な形式に高度な即興美学を凝縮し、世代を超えて演奏され続けるジャズ・スタンダードである。