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When You And I Were Young, Maggie
- 作曲: TRADITIONAL

When You And I Were Young, Maggie - 楽譜サンプル
When You And I Were Young, Maggie|歌詞の意味と歴史
基本情報
19世紀に生まれたラヴ・バラード。原詩はカナダの教師・詩人ジョージ・ワシントン・ジョンソンが1864年に最愛のマギーに捧げたものとして知られる。メロディは米作曲家ジェームズ・A・バターフィールドの旋律で1866年に楽譜出版されたが、伝承過程で“TRADITIONAL”と表記されることも多い。現在は歌付きで広く歌われ、器楽演奏も盛ん。タイトルはしばしば「Maggie」と略称される。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、若き日を共にした恋人への追憶と、時の経過がもたらす老い・別れを静かな抒情で描く。自然の情景やかつてのダンスホールなど、共有した場所の記憶を手がかりに、愛の持続と喪失の痛みが交錯するのが核心。直接的な悲嘆ではなく、穏やかな回想口調が魅力で、追悼や記念の席でも歌われることがある。メロディは流麗で、長いフレーズが言葉の余韻を支え、ノスタルジアを強調する。
歴史的背景
ジョンソンはオンタリオ州の学校教師で、婚約者(後の妻)マギー・クラークの病を案じつつ詩を書いたとされる。バターフィールドによる楽曲化ののち北米で人気を博し、移民コミュニティを通じてアイルランドやイギリスへも拡散。家庭のサロンで歌うパーラー・ソングとして定着し、やがて酒場やダンス・バンド、カントリー/フォークのレパートリーへ吸収された。19世紀後半から20世紀初頭にかけての歌本やブロードサイドにも頻出し、口承で広まった。
有名な演奏・映画での使用
本曲はアイルランド伝統歌手、オールドタイムやブルーグラスのミュージシャン、ダンス/ディキシー系バンドまで幅広く録音が残る。テンポはバラードからワルツ、スウィング寄りまで多様で、ハーモニー・デュオでも親しまれる。テレビや映画で断片的に用いられる例はあるが、象徴的かつ決定的な映画使用については情報不明。代表的録音の網羅的リストも情報不明。
現代における評価と影響
19世紀のパーラー・ソングながら、英語圏のセッションや合唱で今も定番。旋律の親しみやすさと物語性から、教育現場の教材やリサイタルのアンコールにも選ばれる。著作権は作者の没後期間を経て多くの地域でパブリック・ドメインとなっており、編曲・翻案、邦訳歌詞の制作、器楽アレンジなどの自由度が高い点も普及を後押ししている。伝承歌としての柔軟さが、世代やジャンルをまたいだ継承を可能にしている。
まとめ
「When You And I Were Young, Maggie」は、私的な愛の詩が時代と地域を越えて歌い継がれた稀有な名歌。郷愁と静かな希望を湛えるメロディは、歌唱でも器楽でも映える。成立年や作者表記に揺れはあるが、核心にあるのは普遍的な追憶の情であり、現在も多様なスタイルで生命力を保ち続けている。