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Why Was I Born?

  • 作曲: KERN JEROME
#スタンダードジャズ
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Why Was I Born? - 楽譜サンプル

Why Was I Born?|楽曲の特徴と歴史

基本情報

作曲はJerome Kern、作詞はOscar Hammerstein II。1929年のブロードウェイ・ミュージカル『Sweet Adeline』のために書かれ、主演ヘレン・モーガンが紹介した。形式は32小節AABAで、主にバラードとして歌われる。出版年は1929年。存在への問いを含む内省的な歌詞世界を持つが、ここでは歌詞全文の引用は行わない。

音楽的特徴と演奏スタイル

柔らかく下行する冒頭旋律と、B部での推進感が対比を生む。和声はケルンらしい滑らかな転調と副次ドミナントが特徴で、旋律とコードの親和性が高く、歌でも器楽でも解釈の余地が広い。ヴォーカルはレガート中心でブレス位置の工夫が要点。インストは間合いとボイスリーディングを生かしたバラード・アドリブが映える。キーは歌手や編成により可変。

歴史的背景

『Show Boat』(1927)で名コンビとなったケルン&ハマースタインが、トーチ・ソングの表現をさらに磨いた時期の作品。『Sweet Adeline』の舞台初演(1929年)を機に人気が広まり、ラジオとレコードの普及とも相まって多くの歌手に取り上げられた。ブロードウェイ由来のショー・チューンが、ジャズのレパートリーへ流入していく過程を象徴する一曲となった。

有名な演奏・録音

初演歌手ヘレン・モーガンの歌唱は象徴的存在。ビリー・ホリデイの録音(1930年代)はしなやかなフレージングで名高い。エラ・フィッツジェラルドの『Jerome Kern Song Book』(1963)は清澄な音楽性で標準的解釈を提示。ピアノではアート・テイタムのソロが高度な再調性化とタッチで知られ、器楽的魅力も強調された。ほかにも多くの歌手・ジャズ奏者が録音を残している。

現代における評価と影響

哀感と品位を併せ持つ旋律は、ヴォーカリストの表現力を映す教材としても重宝され、ジャズ・クラブやリサイタルで現在も取り上げられる。ショー・チューン発のスタンダードとして、時代やスタイルを越えて編曲の自由度が高く、クラシカルな伴奏からモダン・ハーモニーまで幅広い解釈が可能で、録音と上演の双方で命脈を保ち続けている。

まとめ

Why Was I Born?は、舞台発の名曲がジャズへ溶け込んだ典型例。端正なAABA構成と豊かな和声、感情の起伏を託せるメロディが、世代を超えて演奏家と聴き手を引き寄せる。入門者にはフォームと歌心を学べる教材として、愛好家には名演の聴き比べが楽しい一曲として薦められる。