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Wild is The Wind
- 作曲: TIOMKIN DIMITRI

Wild is The Wind - 楽譜サンプル
Wild is The Wind|楽曲の特徴と歴史
基本情報
作曲はDimitri Tiomkin、作詞はNed Washington。1957年公開の映画『Wild Is the Wind』(監督:ジョージ・キューカー)の主題歌としてジョニー・マティスが歌唱し発表。第30回アカデミー賞主題歌賞にノミネートされた名バラードで、後年ジャズ・スタンダードとして定着した。調性や原調は版により異なり、演奏状況に応じた移調が一般的。
音楽的特徴と演奏スタイル
穏やかなテンポと豊かなルバート、広い跳躍を含む旋律が特徴。風の揺らぎを思わせる長いフレーズと“ため”が求められ、歌唱では息遣いとダイナミクスのコントロールが要。和声は短調系を基調に、派生和音や半音階的進行で情感を高める。ジャズではピアノ・トリオやギターを中心に、間を活かしたミニマルな伴奏が好まれる。
歴史的背景
映画は移民社会を背景にした愛と葛藤を描き、主題歌は登場人物の複雑な心情を象徴する役割を担った。映画音楽の名手として知られるティオムキンは、抑制された旋律線と劇的な和声で物語性を強調。劇場公開とサウンドトラックの成功が、曲の広まりの起点となった。
有名な演奏・録音
初演のジョニー・マティス版に続き、ニーナ・シモンが1966年の同名アルバムで決定的名演を残し、気怠くも官能的な表現で評価を確立。デヴィッド・ボウイは1976年『Station to Station』でカバーし、1981年にシングルとしても広く知られた。以後も多くの歌手が解釈を重ね、録音史は豊富だ。
現代における評価と影響
映画発のポピュラー曲がジャズ現場で生き続ける代表例として、教育現場やオーディションのレパートリーにも定着。スロー・バラードならではの表現力を試す教材として重宝され、配信時代でもプレイリストに頻出。世代やジャンルを超えた共通言語としての地位を保つ。
まとめ
『Wild is The Wind』は、映画主題歌として生まれ、歌い手の解釈によって新たな命を得てきた稀有な楽曲だ。簡素な素材と深い情感が両立し、今なお新しい名演を生む余白を残す。その普遍性こそが、スタンダードとしての最大の強みと言える。