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All This And Heaven Too

  • 作曲: VAN HEUSEN JIMMY
#スタンダードジャズ
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All This And Heaven Too - 楽譜サンプル

All This And Heaven Too|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「All This And Heaven Too」は、アメリカの名作曲家Jimmy Van Heusenによるバラード系スタンダード。作詞者は情報不明、初出年も情報不明だが、アメリカン・ソングブック系のレパートリーとして広く親しまれている。ジャズ・シーンでは歌ものとして扱われることが多く、ヴォーカルと小編成コンボ、あるいはビッグバンドの抒情的なアレンジで取り上げられる。タイトルが示すロマンティックな世界観から、ナイトクラブやラウンジ、リサイタルなど、落ち着いた場面でのプログラミングに適した楽曲として知られる。

音楽的特徴と演奏スタイル

演奏慣習としてはスロウからミディアム・スローのテンポ設定が主流。滑らかな旋律線を活かすレガート唱法や、内声の動きを際立たせる豊かな和声感が映える。一般的なスタンダード・ナンバーに見られる32小節前後の構成で演奏される例が多く、キーは歌い手や編曲に合わせて柔軟に選択される。ヴォーカルでは歌詞の語感を損なわないフレージング、器楽ではメロディを尊重したシンプルな歌い回しが要点。イントロやターンアラウンドにオブリガートを加え、終盤でダイナミクスをひとつ引き上げる構成が効果的だ。ピアノ・トリオやギター・デュオでも成立し、室内的な親密さを演出できる。

歴史的背景

作品はアメリカのスウィング期からポピュラー音楽黄金期の文脈で受容され、ラジオやダンスホール、レコード文化の発展とともに広がった。Jimmy Van Heusenは映画・放送・舞台にまたがる名匠として多くのスタンダードを生み、本曲もその叙情性と洗練された旋律で評価されてきた。「All This, and Heaven Too」という同名映画(別作品)が存在するが、本曲との直接的な関連や使用有無は情報不明である。

有名な演奏・録音

本曲はビッグバンド時代のオーケストラ録音から、後年のジャズ・ヴォーカルによるバラード解釈、さらに小編成コンボの繊細な器楽版まで幅広い録音形態が残る。アレンジはストリングスを重ねたリリカルなもの、ブラスを抑えて和声の陰影を前面に出すもの、テンポをやや上げてミディアム・スウィングに寄せるものなど多彩。チャート成績や個別の初出録音、特定アーティストの決定的名盤については情報不明だが、時代ごとに解釈の幅が示され、レパートリーとしての生命力を裏付けている。

現代における評価と影響

現在もスタンダード集やレパートリー指南書に掲載される機会があり、音大やジャズ・ワークショップの教材としても扱われる。バラード表現、歌詞のディクション、ハーモニーの理解など多面的な学習に適し、リーダー・ライブやブライダル、ディナー・ショウなど場面依存の高いプログラムでも重宝される。配信時代においてもカヴァー録音が継続し、クラシカルな情緒とモダンな音作りの両立を図る試みが見られる点が、本曲の普遍性を物語っている。

まとめ

「All This And Heaven Too」は、Van Heusenの抒情性が冴える歌ものスタンダード。詳細な作詞者や初出年は情報不明ながら、穏やかなテンポと上質な旋律美により、世代や編成を超えて演奏され続けている。ヴォーカル、器楽いずれでも映える汎用性の高さが魅力で、今後も定番レパートリーとして息長く愛されるだろう。