Anything Goes
- 作曲: PORTER COLE

Anything Goes - 楽譜サンプル
Anything Goes|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『Anything Goes』は、作曲・作詞ともにコール・ポーターが手がけた1934年のブロードウェイ・ミュージカル同名作の表題曲。初演でエセル・マーマンが歌いヒットし、やがてショー・チューンの枠を超えてジャズ・スタンダードとして広く演奏されるようになった。Great American Songbookを代表する定番曲である。
音楽的特徴と演奏スタイル
軽快なスウィング・フィールを軸に、洒脱な旋律と言葉遊びの妙が際立つ。テンポはアップ~ミディアムが定番だが、コンボからビッグバンドまで編成を選ばない柔軟さを持つ。ジャズではウォーキング・ベースとスネアの2&4を効かせ、ブラスのヒットやブレイクでメリハリを付けるアレンジが映える。エンディングでタグや転調を加える解釈も多い。
歴史的背景
発表は大恐慌後の1930年代。モダニティや世相をユーモアと皮肉で描くスタイルが観客に受け、舞台の華やぎを象徴するナンバーとなった。タイトルの「なんでもアリ」という感覚は、当時のショービジネスの活力と共鳴し、エンターテインメントの自由さを印象づけた。作品自体はたびたびリバイバルされ、曲も生き続けている。
有名な演奏・録音
Ethel Merman(1934年初演)の強靭なベルティングは原点。Ella Fitzgerald『Sings the Cole Porter Song Book』(1956)はジャズ・ヴォーカルの金字塔的録音。近年ではTony Bennett & Lady Gaga(2014)が世代横断的に再評価を促した。さらに映画『Indiana Jones and the Temple of Doom』(1984)冒頭で用いられ、広い層に再認知された。
現代における評価と影響
今日、『Anything Goes』はショー・チューンとジャズの架橋を示す代表例として、教育現場やコンサートで取り上げられる。歌詞の機知とリズム感はヴォーカリストの表現力を引き出し、インストでは明快なスウィングの推進力が魅力。編成やテンポの自由度が高く、プログラムに躍動感と華やぎを与える一曲として重宝されている。
まとめ
舞台発の名曲でありながら、再解釈に開かれた普遍性を備えるのが本曲の強みだ。軽快なリズム、洗練されたメロディ、社会風刺のセンスが結びつき、時代を超えて聴き手を惹きつける。初演から現代までの豊富な録音史を辿れば、『Anything Goes』の懐の深さとコール・ポーターの作家性が一層鮮明になる。