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Dancing In The Dark

  • 作曲: SCHWARTZ ARTHUR
#スイング#スタンダードジャズ
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Dancing In The Dark - 楽譜サンプル

Dancing In The Dark|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Dancing In The Dark は、作曲アーサー・シュワルツ、作詞ハワード・ディーツによる1931年の楽曲。ブロードウェイのレヴュー『ザ・バンド・ワゴン』のために書かれ、その後、1953年のMGM映画『バンド・ワゴン』でも重要曲として用いられた。豊かな和声と叙情的メロディにより、アメリカン・ソングブックを代表するジャズ・スタンダードとして定着し、多くの歌手・器楽奏者に演奏され続けている。

音楽的特徴と演奏スタイル

形式は32小節のAABAが基本。旋律は半音階的なニュアンスと大きなレガートのフレーズを併せ持ち、内省的でありながら気品ある高揚感を生む。ハーモニーは副属七や循環進行を活かし、テンションや置換和音を用いた reharmonization との相性が良い。テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く、歌ものではルバート導入からバンドインという構成も定番。器楽演奏ではAセクションでのモチーフ展開、ブリッジでのリリックなソロが映える。

歴史的背景

1931年、景気後退下のブロードウェイにあって、シュワルツ&ディーツのコンビは洗練とロマンを携えた楽曲群で注目を集めた。本曲はその象徴的存在で、甘美だが過度にセンチメンタルに傾かない均衡感が舞台上の洗練された世界観を支えた。のちに映画『バンド・ワゴン』(1953年)でも取り上げられ、同時代のポピュラー音楽と映画音楽の橋渡しを果たし、観客の記憶に深く刻まれることとなる。

有名な演奏・録音

映画『バンド・ワゴン』におけるフレッド・アステアとシド・チャリースのデュエット・ダンスは、本曲最大の名場面として広く知られる。レコードでは、フランク・シナトラをはじめ多くの名歌手が取り上げ、ビッグバンドや小編成ジャズでも数多く録音が残る。ボーカルは歌詞の陰影を活かしたフレージングが聴きどころで、インストはバラード・タッチからスウィングまでアプローチが多彩。詳細なチャートやチャート上の初出ランキングは情報不明。

現代における評価と影響

Dancing In The Dark は、スタンダード教材として音楽学校やジャズ教育の現場でも取り上げられ、セッション・レパートリーとして定着。映画と舞台、ジャズとポピュラーの垣根を軽やかに越える汎用性は、編曲やメディア再解釈の余地を広く提供している。ライブでは夜想的な雰囲気づくりに適し、コンサートの中盤を彩る一曲として重宝される。時代を超える普遍性と洗練が、現在もリスナーと演奏家を惹きつけてやまない。

まとめ

ブロードウェイ生まれの名曲として端正なメロディと豊かな和声を備えた本作は、映画での名演や数多の録音を通じてジャズ・スタンダードに昇華した。バラードでもスウィングでも魅力を発揮し、歌詞の世界観と音楽的完成度が高次で結晶した一曲である。出自・歴史・演奏実践の三拍子がそろったレパートリーとして、今後も長く演奏され続けるだろう。