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I Wished On The Moon
- 作曲: PARKER DOROTHY, RAINGER RALPH

I Wished On The Moon - 楽譜サンプル
I Wished On The Moon|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「I Wished On The Moon」は、作曲Ralph Rainger、作詞Dorothy Parkerによる1935年発表の楽曲。ハリウッド映画『The Big Broadcast of 1936』(1935公開)でBing Crosbyが紹介し、米ポピュラー/ジャズの定番として知られる。歌詞の全文は割愛するが、願いとロマンスを月に託すイメージが核にある。
音楽的特徴と演奏スタイル
穏やかな旋律線と、滑らかなハーモニー運びが魅力。バラード〜ミディアムのテンポで歌われることが多く、歌詞の叙情を生かすレガートと細やかなダイナミクスが要点。小編成コンボのスウィング伴奏や、ピアノ+ボーカルの親密な編成でも映え、アドリブはメロディ変奏型が好相性。ブレス位置や語尾のニュアンスで雰囲気が大きく変わるため、歌手の解釈が聴きどころとなる。
歴史的背景
1930年代のアメリカでは、映画が新曲の重要な発表媒体だった。本曲もその典型で、スクリーン発の人気がレコードとラジオを通じて拡散し、楽譜の普及とともにスタンダード化が進んだ。作曲家Raingerは映画音楽で活躍し、パーカーの機知に富む言葉が曲の品位を高めた。映像と音楽の相乗効果により、甘美で洗練されたムードのバラードとして広く認知された。
有名な演奏・録音
初期の重要録音としてBing Crosbyの音源(1935年)が挙げられる。さらにBillie Holidayが1935年に録音し、憂愁と芯の強さを併せ持つ解釈で後続に影響を与えた。以降、多数のジャズ歌手やコンボがレパートリー化し、編成やテンポの違いによる多彩な解釈が生まれている。特定アルバムや映像使用の詳細は情報不明だが、名演は複数の復刻盤・配信で容易に聴取できる。
現代における評価と影響
現在もジャズ・ボーカルの定番レパートリーとして取り上げられ、ライブや録音で継続的に演奏されている。穏やかな情緒と普遍的なテーマが評価され、配信サービスや再発盤を通じて新たな聴衆に届き続けている。歌詞のイメージを生かす解釈、和声の置き換え、テンポ設定の違いなど、表現の幅があり、演奏者にとっても発展的な題材となっている。
まとめ
映画由来のポピュラー曲として生まれ、ジャズ・スタンダードへと定着した「I Wished On The Moon」。上質なメロディと言葉の響きが時代を越えて支持され、歌手の解釈次第で多彩な表情を見せる。入門者にも覚えやすく、奥行きのある一曲として、名演を聴き比べながら味わいたい。