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I'll See You In My Dreams
- 作曲: JONES ISHAM

I'll See You In My Dreams - 楽譜サンプル
「I'll See You In My Dreams|楽曲の特徴と歴史」
基本情報
1924年に発表されたI'll See You In My Dreamsは、作曲Isham Jones、作詞Gus Kahnによるアメリカのポピュラー・ソングで、現在はジャズ・スタンダードとして広く親しまれている。甘く郷愁を誘う旋律と、別れと希望を見つめる歌詞世界が特徴で、歌入り・インストの双方で数え切れない録音が残る。初期にはダンス・バンドのレパートリーとして広まり、のちに映画の題名にも採用されるなど、時代を超えて生き続ける名曲だ。
音楽的特徴と演奏スタイル
音楽的には、旋律の上昇と下降が滑らかに交錯し、切なさを帯びたカデンツが印象を決定づける。テンポ設定はバラードからミディアム・スウィングまで幅広く、シンガーのフレージングを引き立てる余白が大きいのも魅力。ジャズではレガート主体の歌伴、ギターやヴァイオリンによるインスト、サックスのリリカルなバラードなど多様に解釈される。和声は機能和声を基盤に、要所での転調感が情緒を深める構成で、ギタリストはコード・メロディやウォーキング・ベースによるソロにも取り組みやすい。ウクレレやマンドリン編成でも親和性が高く、弦楽器奏者の定番曲としても定着している。
歴史的背景
1920年代のティン・パン・アレー黄金期に生まれ、Isham Jones楽団の演奏で人気を確立。歌詞を手がけたGus Kahnの半生を描く1951年の伝記映画「I'll See You in My Dreams」(主演:ドリス・デイ、ダニー・トーマス)が公開されると、曲名そのものが再び注目を集め、スタンダードとしての地位を盤石にした。ジャズの発展とともに、スウィングからモダンまで世代を超えた奏者が取り上げ続けている。
有名な演奏・録音
代表的な録音としては、Isham Jones and His Orchestraのヒット・バージョン(1924)が知られる。ギターではDjango ReinhardtとQuintette du Hot Club de Franceによるインスト解釈が名高く、カントリー/ギター界ではChet Atkinsの洗練された演奏が定番に数えられる。映画関連ではドリス・デイの歌唱が広く親しまれ、さらに2002年のConcert for GeorgeでJoe Brownがウクレレで披露し、世代を超える普遍性を印象づけた。
現代における評価と影響
現在もセッションや教育現場で扱われる機会が多く、別離や追憶を題材にしながらも温かな余韻を残す表現力が支持されている。編成の自由度が高く、弦楽器合奏から小編成ジャズ、ソロ弾き語りまで自然に馴染む点も強み。ストリーミング時代においても新録が途切れず、アメリカン・ソングブックの重要曲として引用やカバーが繰り返されている。
まとめ
哀愁と希望を同時に抱くメロディが、歌でも器楽でも力を発揮する稀有な一曲。まずはIsham Jonesのオリジナル系統と、Django Reinhardtのギター・インストを聴き比べると、この曲の懐の深さが体感できるはずだ。歴史と普遍性を併せ持つスタンダードとして、今後も演奏され続けるだろう。