Love Me Or Leave Me
- 作曲: DONALDSON WALTER

Love Me Or Leave Me - 楽譜サンプル
Love Me Or Leave Me|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Love Me Or Leave Me は、作曲ウォルター・ドナルドソン、作詞ガス・カーンによる1928年の楽曲。ブロードウェイ・ミュージカル『Whoopee!』で発表され、翌年にルース・エッティングの録音が大ヒット。以後、歌と器楽の双方で取り上げられるジャズ・スタンダードとして定着した。
音楽的特徴と演奏スタイル
AABAの32小節形式で、強いフックを持つA部とコントラストのあるB部が即興の土台を提供する。ミディアムからアップテンポのスウィングで演奏されることが多いが、バラード解釈も有効。歌唱ではルバートのイントロや転調、器楽ではウォーキング・ベースと4ビートのソロ展開が定番だ。
歴史的背景
1920年代後半のティン・パン・アレーとブロードウェイの黄金期に生まれた本曲は、キャバレー文化とラジオ普及の波に乗って広く浸透した。作品の自立的な歌詞は、当時の女性像の変化とも響き合い、舞台から蓄音機、のちの映画へと受け継がれていく。
有名な演奏・録音
初期の決定版としてルース・エッティング(1929)。映画『Love Me or Leave Me』(1955)ではドリス・デイが力強い歌唱で再評価を牽引。ニーナ・シモンはデビュー作『Little Girl Blue』(1958)でバッハ風の対位法的ピアノ即興を交えた名演を残した。ビリー・ホリデイの深い解釈も知られる。
現代における評価と影響
本曲はジャム・セッションの常連曲で、リアルブック等の教材にも掲載される定番。明快な構成と豊かなコード進行は、耳コピーやアドリブ練習の優れた題材として評価が高い。映画や舞台のリバイバルでも継続的に取り上げられ、世代を超えて演奏が更新されている。
まとめ
Love Me Or Leave Me は、舞台発のポピュラー曲が時代を越えてジャズの言語へと編み込まれた好例である。端的なメロディと変化に富むハーモニーが、歌手にもインスト奏者にも開かれた表現の場を提供し続けている。入門にも再発見にも適した、普遍性の高い一曲。